ウレアプラズマ感染症について|薬で治る?治療法と原因について解説

  性器に軽いかゆみや痛みがあり、不安に思って検査をしたら、ウレアプラズマに感染していると言われた。パートナーがほかの検査をしたところ、ウレアプラズマへの感染が見つかった。治療するのはよいが、どんな方法なのか。治療に1カ月くらいかかると言われたが、本当なのか…。 まだあまり一般的ではない「ウレアプラズマ」という病名を聞かされ、自分なりに調べてみると不妊の恐れもあるらしい…。不安でいっぱいになりますね。確かに放置すれば不妊の危険性がある性病で、これまでの薬が効かない耐性菌が増えているのも事実。でも早めに正しい治療さえすれば、完治する病気でもあります。はっきりした症状がなくても、「おかしいな」と感じたらすぐに受診しましょう。  

 ウレアプラズマ感染症とは

ウレアプラズマ感染症は比較的新しい性感染症。日本では2012年から自由診療でのみ検査ができるようになりました。 病原体であるウレアプラズマは、直径100ナノメートルというとても小さな細菌で、現在流行中の新型コロナウイルス感染症の原因ウイルス、SARS-CoV-2と同程度のサイズ。細菌としては最も小さな部類に入ります。栄養源さえあれば次々に増殖して感染していくため、クラミジアや淋病に次ぐ拡大が予測され、注意が必要です。  

ウレアプラズマ感染症の原因

原因菌のウレアプラズマには、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、ウレアプラズマ・パルバムの2種類があることが分かっています。後者のウレアプラズマ・パルバムは発見自体も最近で、2000年代に入ってから報告のあった細菌です。  

ウレアプラズマとマイコプラズマ感染症の違い

ウレアプラズマとよく似た症状が現れる性病に、マイコプラズマ感染症があります。ウレアプラズマ、マイコプラズマ、それぞれの特徴を見ていくと、病原体はともに細菌。感染すると、男性では尿道や前立腺に症状が現れ、女性では膣炎を起こす点で非常に似通っています。また治療については、両者とも抗生物質が用いられますが、これまで効果のあったお薬が効きにくくなる薬剤耐性菌が増えている点もよく似ています。 一方で、ウレアプラズマとマイコプラズマでは図1の通り、感染後、発症するまでのメカニズムが異なり、有病率にも違いがあります。   図1 原因菌の違いと有病率
  原因菌の違い 有病率
ウレアプラズマ・ウレアリチカム ・ウレアーゼという酵素でアンモニアを作り、その毒で組織を傷つける 28.0%
ウレアプラズマ・パルバム 46.7%
マイコプラズマ・ジェニタリウム ・酸化水素を作り出して細胞に入り込み、免疫反応を起こして組織を傷つける 5.3%
マイコプラズマ・ホミニス 21.3%

ウレアプラズマは常在菌ですか?病原菌ですか?

常在菌というのは、多くの人が共通して持っており、かつ病原性を示さない菌のこと。ウレアプラズマは女性では4割近くの人に見られ、症状が出ないことも多いため、常在菌なのか、病原菌なのか、医師の間でも長年、意見が分かれていました。 「常在菌だから、ウレアプラズマは治りにくい」という考え方もあるようですが、最近は研究が進み、「ウレアプラズマは常在菌ではなく、低病原性細菌」という見方が有力になってきました。  

主な感染経路について

ウレアプラズマは感染症。感染者の粘膜との直接接触でうつり、性行為や性行為に類する行為が主な感染経路になります。1回の性的接触する確率はクラミジアや淋菌と同程度で、約30%。誰でも感染する可能性がある性病です。  

性行為による感染

病原体であるウレアプラズマに感染している部位や細菌を含んだ体液と粘膜接触することで感染が拡がり、コンドームなしの膣性行為はもちろん、アナルセックスやオーラルセックス、ディープキスでもうつる可能性があります。 とくに近年増えているのが、フェラチオのようなオーラルセックスを介して喉に感染するケース。妊娠のリスクがないのでコンドームをせずに行うことが大半かと思われますが、コンドームをしないと粘膜同士が直接接触するため、性器がウレアプラズマに感染していれば喉にうつる可能性があり、逆に感染している喉から性器にうつる可能性もあります。 ウレアプラズマは無症状のことが多いですが、喉は性器よりもさらに症状が現れにくいことから、感染していること自体に気づけないのも難点。クラミジアや淋菌に次いで感染者が増えていることから、ウレアプラズマに感染しているとは思わずに性行為や性的接触を行っている人が多いことが推測されます。  

その他の感染経路

感染者の粘膜や体液と直接接触さえしなければ、感染することはほぼありません。お風呂や銭湯、トイレ、タオルの共用といった日常生活では、間接的な接触はあっても直接的な接触はまずありません。したがって、感染の確率はほとんどないと考えてよいでしょう。  

主な症状について

ウレアプラズマでは、男女とも、この病気特有の分かりやすい症状というのは特にありません。男性は尿道炎、女性は膣症や子宮頸管炎が多くなりますが、他の病原体が原因の場合とさほど変わらないのです。これは裏を返せば見過ごされやすいということ。悪化すれば劇症化もあり得るので注意が必要です。  

男性の症状

ウレアプラズマに感染後、まず発症するのが尿道炎です。尿が出にくい、尿道がムズムズする、尿道から膿が出るといった、クラミジアにかかった時とよく似た症状が現れます。人によってはこうした症状が出ない場合もあります。 尿道炎は、進行すると急性精巣上体炎といって、副睾丸の炎症の原因になることがあります。陰のうに腫れや痛み、しこりが現れるほか、38度以上の高熱を伴うことも。また、慢性の前立腺炎を引き起こす場合もあります。  

女性の症状

女性の場合は細菌性膣症を起こし、おりものの異常や膣のかゆみ、排尿障害、下腹部の違和感といった症状が現れます。 おりものの異常としては、いつもよりネバつく、血がまじるなど。膣症が悪化すると、子宮の入り口である子宮頸管や骨盤内の臓器を覆う腹膜が炎症を起こすことがあります。不正出血や性交痛、悪臭のある膿のような黄色いおりものが多くなり、39度以上の発熱を伴うことも。ただし、女性はこういった症状が出ないことの方が多いのが現状です。  

ウレアプラズマとマイコプラズマの症状の違い

男性の場合を例に挙げると、尿道炎や精巣上体炎等、ウレアプラズマ、マイコプラズマとも似通った症状が現れます。ただ細かく見ていくと、細菌の種類によって各症状との関連性には違いがあります。図2にもある通り、尿道炎や精巣上体炎、前立腺炎との関連が強いのはマイコプラズマ・ジェニタリウム、一方で、男性不妊と関連が強いのがウレアプラズマ・ウレアリチカムです。 女性の場合は他の雑菌と共存していると不妊症や流産・早産の引き金になりやすいですが、マイコプラズマ・ジェニタリウムでは、単独でそのリスクが高くなります。さらに、ウレアプラズマについては、妊娠時に感染していると胎児への影響が大きく、慢性肺疾患等の合併症を悪化させることが分かっています。     図2 男性疾患とウレアプラズマ、マイコプラズマの関連
  ウレアプラズマ・ウレアリチカム ウレアプラズマ・パルバム マイコプラズマ・ジェニタリウム マイコプラズマ・ホミニス
急性尿道炎 ×
急性精巣上体炎 ×
慢性前立腺炎
男性不妊 × ×
◎強く関連する、〇関連がある、×関連がない、△不明
 

放置した場合のリスク

性感染症に限らず、自覚症状が軽いとつい放置してしまいたくなりますが、症状が軽いことがすなわち、たいした病気ではないということにはなりません。 ウレアプラズマの場合、放置すると男性は尿道から副睾丸(精巣上体)、精管、精のう、前立腺と、徐々に体内へ感染が拡がっていき、生殖機能にも影響を与えかねません。例えば、正常な精子の割合や精液の量が減ってしまったり、精子の運動率が悪くなってしまったりすることで、男性不妊の原因にもなり得るのです。 女性の場合は、膣から子宮頸管、子宮、卵管、骨盤内へと感染が拡がっていくわけですが、無症状が大半のことから、感染に気づけずに放置してしまうということが多くなっています。結果として、不妊や早産・流産のリスクを高めてしまうことも少なくありません。  

ウレアプラズマとマイコプラズマの症状及びリスクについて

男性の場合、クラミジアでも淋菌でもない尿道炎の原因菌として多いのは、マイコプラズマ・ジェニタリウムとウレアプラズマ・ウレアリチカムで、進行すると精巣上体炎や前立腺炎へと波及していきます。   また、ウレアプラズマ・ウレアリチカムは男性不妊症との関連が指摘されていて、健康な精子の割合が少ない、精子の運動率が低いといった報告もあるほか、女性の場合は他の雑菌と協調することで症状がひどくなり、やはり不妊症の原因になることが分かっています。   図2 男性疾患とウレアプラズマ、マイコプラズマの関連
  ウレアプラズマ・ウレアリチカム ウレアプラズマ・パルバム マイコプラズマ・ジェニタリウム マイコプラズマ・ホミニス
急性尿道炎 ×
急性精巣上体炎 ×
慢性前立腺炎
男性不妊 × ×
    図3 女性疾患とウレアプラズマ、マイコプラズマの関連
  ウレアプラズマ・ウレアリチカム ウレアプラズマ・パルバム マイコプラズマ・ジェニタリウム マイコプラズマ・ホミニス
膣症 ×
子宮頸管炎 大量にあると〇 大量にあると〇
骨盤腹膜炎 他の雑菌と共存すると〇 他の雑菌と共存すると〇 他の雑菌と共存すると〇
不妊症 他の雑菌と共存すると〇 他の雑菌と共存すると〇 他の雑菌と共存すると〇
流産・早産 他の雑菌と共存すると〇 他の雑菌と共存すると〇 他の雑菌と共存すると〇
◎強く関連する、〇関連がある、×関連がない、△不明
 

 潜伏期間について

ウレアプラズマに感染後、症状が現れるのは約3日~5週間後。ただし、あくまでも目安であって、人によっては潜伏期間を過ごしても症状が出ないこともあります。無症状のケースは、特に女性に多く見られます。  

ウレアプラズマの検査方法と検査費用について

検査は病院、または検査キットで行うことができます。病院を受診する場合、男性は性病科、泌尿器科、女性は婦人科へ。感染の疑いのある行為から24時間以上経過していれば、検査が可能。正確な結果を得ることができます。  

病院での検査方法

尿検査で、尿道炎の原因となる細菌への感染があるかどうかを調べます。健診の尿検査では尿自体の成分を調べるために、雑菌が混じりやすい最初の尿は捨てて中間尿を採りますが、ウレアプラズマの場合は逆に初尿を調べる必要があります。雑菌が流れてしまわないよう、検査の1時間前からトイレは控えるようにしてください。また、検査結果が出るまでに3日~5日かかります。GOETHE MEN’S CLINICでは、検査結果は電話のほか、LINEでも確認いただけます。   性病セルフチェックはこちら  

検査費用

ウレアプラズマとマイコプラズマは、セットでの検査となり検査費用は17,600円です。 性感染症は個人差があり、自覚症状が出にくいことも多い病気です。明らかな症状が出ていない場合でも、不安があればすぐ受診いただけるよう、GOETHE MEN’S CLINICでは検査・治療が発生する場合の初診料・再診料は無料にしています。なお、ウレアプラズマは今のところ保険適応外のため、当院に限らず、自由診療のみになります。  

検査キット

病院へ行く時間がない、プライバシーが守られるか心配という場合は、検査キットを利用するのも一つの手です。インターネット通販でキットを取り寄せ、自分で検体を採取し、検査機関に送付し検査してもらう、という方法になります。  

ウレアプラズマの治療について

ウレアプラズマは細菌なので、治療薬の種類としては抗生物質を使うことになりますが、抗生物質は基本的に市販されていません。病院を受診してはじめて、治療薬を処方してもらうことができます。  

治療薬について

ウレアプラズマには2種類ありますが、どのウレアプラズマに感染しているかを見極めたうえで、適合する抗生物質を選びます。方法は飲み薬で、推奨はマクロライド系、ニューキノロン系の抗生物質。マクロライド系では代表的なものにジスロマックがあります。 ウレアプラズマの治療に用いる抗生物質は、国内では法律上、医師による処方箋が必要です。したがって市販薬はなく、病院を受診して治療を受ける必要があります。  

治療費用

非クラミジア性 非淋菌性尿道炎(ウレアプラズマ) 16,500円(税込)   通常は、マクロライド系の飲み薬1回で対応しますが、効果がみられない場合は、ニューキノロン系、テトラサイクリン系等、抗生物質の種類や服用期間を変えて治療を続けることになります。なお、ウレアプラズマの治療は検査と同じく保険適応外のため、当院に限らず自由診療のみとなります。  

ウレアプラズマについてよくある質問

検査で陽性が出たものの、症状は軽いし、何だか治ってきたような気もする。このまま放っておいても自然に治るのでは?再感染したけれど、前回もすぐに治ったし、性行為をしても構わない?等、よくある質問にお答えします。  

ウレアプラズマは自然治癒しますか?

自然治癒はしません。症状がない、あっても軽い、あるいは症状が消えてきた、だから、体内からウレアプラズマが自然にいなくなるのでは、と思うかもしれませんが、症状の有無と菌の有無は必ずしもイコールではありません。パートナーにうつしたり、先々、不妊症の原因になったりする恐れがあるので、検査で陽性が判明しているなら早めに治療しましょう。 また、たまたま他の病気で服用した抗生物質がウレアプラズマに対して中途半端に効いてしまうと、薬剤耐性菌を生む危険性もあります。  

ウレアプラズマの治療中に性行為をしても大丈夫ですか?

治療中ということは、まだ体内にウレアプラズマがいるということになりますから、感染する可能性があります。ノーマルな性器性交はもちろん、オーラルセックス、アナルセックス、その他性行為に類似する行為も含め、控えるようにしてください。  

ウレアプラズマを予防するためには何をすればいいですか?

コンドームの使用が効果的です。予防には、感染部位と粘膜接触しないことが重要。性器性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスの場合も着用すること、また接触する部位が変わるごとに新しいコンドームに着け替えることも大切です。  

感染が疑われる場合はすぐに検査、治療を受けましょう

ウレアプラズマは比較的新しい性感染症ながら、クラミジアや淋病と並び、感染者が増えている病気です。自覚症状は出にくいか、出たとしてもごく軽く、感染に気づきにくいのが特徴。潜伏期間が長いことから、運よく感染が分かったとしても「心当たりがない」ということにもなりがちです。 放置すると男女とも不妊症になる恐れがあり、さらに女性の場合、妊娠中に感染してしまうと胎児に影響する可能性もあるので、「誰にうつされたのか」の犯人捜しよりも、まずは治療を始めることの方が大切。パートナーに感染させてしまうことのないよう、おかしいと思ったら早めに検査・治療を受けるようにしましょう。 また、ウレアプラズマは薬剤耐性菌が増えているため、菌の種類に合った正しい治療を受けること、かつ最後まで治療を続けることがとても重要だという点にも留意してください。 GOETHE MEN’S CLINICでは検査は即日可能、治療もその日から始められます。    

料金について

クリニックへのアクセス

 
記事の監修者:野口 真康
GOETHEメンズクリニック八重洲院 院長
日本性感染症学会 会員