HIV(エイズ)の検査を受ける|どこで検査すればよいか・精度の高い検査方法について
2022.10.31
※お知らせ 東京都の梅毒感染防止に向けた検査 実施中
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記事監修 宮島 賢也 医師
HIVとは、ヒト免疫不全ウイルスのことで、主に粘膜や血液を介して、あるいは母子間で感染します。このHIVによって引き起こされる疾患がいわゆるエイズです。この記事では、HIVの検査方法や種類、検査の流れ、検査が受けられる場所について詳しく解説します。
HIVとは、ヒト免疫不全ウイルスのことで、主に粘膜や血液を介して、あるいは母子間で感染します。
後天性免疫不全症候とは、このHIVによって引き起こされる疾患のことであり、いわゆるエイズと呼ばれています。
医学の進歩により、HIV感染症は不治の病ではなくなったものの、根治する療法はまだ確立されていないのが現状です。少しでもHIVに感染したかもしれないと不安に思っている方は、早期に検査を受けて、仮に陽性の場合は、しかるべき治療を開始しましょう。
目次
HIV・エイズの検査について
医学の進歩により、HIV感染症の治療法として有効な多剤併用療法が始まってから、エイズで亡くなる人の数は大幅に減りました。
しかし、「まさか自分はHIVに感染しているわけがない」「検査は面倒だから」といった理由できちんと検査をせずに放置してしまった結果、「いきなりエイズ」となってしまったような人も、残念ながらなかには存在するのです。
ですから、「もしかしてHIVに感染したかも」と心配な場合は、まずは検査を受けることが何よりも最優先事項と言えます。
HIVの検査方法
HIVの検査内容の概略を簡単に申し上げますと、採血(約5mlの血液)による血液検査をまずはおこないます。エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染しているか否かについての結果は、プラス(陽性)もしくはマイナス(陰性)で判定をおこなうようにしてください。
つまり、HIVに感染した場合は、抗体ができた意味の「プラス」反応が、感染していない場合は、抗体なしを意味する「マイナス」結果が出るのです。
血液検査をするタイミングですが、HIVに感染してから、抗体が検出されるまでには約1ヶ月かかるなど、個人差がある点に注意が必要です。この期間のことをウィンドウピリオドと言い、HIV感染について心配なことがあった日に検査をしても、結果がマイナスになる可能性が高いのです。
こうした急性感染が見落とされがちであるうえに、輸血用血液が汚染されるといった問題も含んでいます。
もちろん心配な場合は、早めの検査が必要ではありますが、最終的には、約3ヶ月後に検査をおこない、陰性であれば確実にHIVには感染していないと言い切れるでしょう。
では早速、具体的な検査の流れについて見ていきます。
確認検査が必要な理由としては、陽性判定のなかには、「偽陽性」といって、HIVに感染していないにも関わらず、体質や非特異反応などのさまざまな原因により陽性となるケースが含まれているためです。
確認検査で行われるWB(ウェスタンブロット)法とは、ウイルスの蛋白に対する抗体検出方法であるため、特異度が高い点がメリットである一方、ウィンドウピリオドが長い点がデメリットです。
HIV遺伝子を検査するRT-PCR法は、抗体ができるまえからでも検出可能な点が優れている検査方法です。
検査する施設により、実施している検査方法が異なるため、事前に検査施設に確認してから行くことをおすすめします。
保健所などで匿名で受けられる無料検査には、通常検査と即日検査があります。即日検査は、陰性であれば当日結果が分かります。陽性だった場合は2次検査(確認検査)を受ける必要があるため、1週間程度かかります。
医療機関では、スクリーニング検査後に、医師が検査結果を当人に伝えた後、陽性判定の場合には確認検査を行います。結果がわかるのはこちらも1週間程度です。では、それぞれの検査方法の特徴について解説します。
通常検査では、検査会場や病院で採血した検体を検査研究機関輸送して検査をおこない、結果を返却するものです。
研究機関では、最初にEIA法・PA法などによるスクリーニング検査をおこない、陽性反応が出たものに対して、WB法、RTーPCR法による確認検査をしていきます。
確認検査を行うのは、偽陽性であるか否かをチェックするためです。最終的に、陽性もしくは陰性の確定をする際には、採血日の約1〜2週間後に結果が出ます。
即日検査では主に、IC法という検査方法が用いられています。
抗原と抗体を同時測定できるタイプのものであれば、偽陽性がでる確率は0.2〜0.4%と低く、他の検査方法と比べて信頼性が低いというわけではありません。
病院によっては30分程度で結果が分かるところもあります。
とはいえ、即日検査はあくまでもスクリーニング検査法のひとつであり、体質などの要因で偽陽性判定が出ることも否めません。
その場合は、通常検査同様に検査研究機関へ検体を送り、異なる方法を用いた確認検査が必要となるケースがあります。
Webで申込みをすると、自宅に検査キットが送られてきます。説明書に書かれている内容をよく読み、自分で検体を採取した後、その検体を返信用封筒に入れて返送します。最短で翌日に検査結果を確認できます。
検査を受けるべきか迷っている人にとっては、まずは検討してみる価値はあるでしょう。
郵送検査は手軽であるうえに、検査結果について簡単に把握できるメリットがある一方で、精度や信頼できる検査機関であるかについては注意も必要です。
また、郵送検査でHIV感染が疑われる場合には、しかるべき再検査を病院等で受けてください。
Webによる郵送検査の検査機関が信頼できる条件については、以下のチェックリストを参考にしてください。
HIV検査ができるタイミング
HIV検査は、心配なことがあった当日に検査を受けたとしても、有益な検査結果は得られにくい現状があります。また、HIVに感染してから、抗体ができるまでの期間には個人差があり、約1〜3ヶ月かかるとも言われています。
とはいえ、「感染したかも」と不安になると、一日でも早く検査を受けて、感染の有無を確認したくなりますよね。まずは、おかしいと思ったら早めに受け、HIV感染が疑われるような性行為があった日などから約1ヶ月後にも検査を受け、ひとつの目安としてください。
そして、検査結果が陰性であったとしても、感染したかもしれないと疑われる日から約3ヶ月後に、再検査を受けましょう。その時点でも陰性であった場合は、HIVに感染していないと言えます。
HIVの検査はどこで受けられる?(保健所・病院・自宅)
HIVの感染有無を確認する検査には、保健所や病院、検査キットの3種類があります。それぞれに特長があり、メリット・デメリットもあります。自分の置かれている状況に応じて、最適な検査方法を選ぶのが良いでしょう。
保健所で性病検査を受ける
保健所でHIV検査を受けるメリットは、検査費用が無料であり、匿名で受けられる点です。自覚症状はないものの、HIV以外にも梅毒やクラミジアといった性病検査をしたい人におすすめです。
デメリットとしては、事前予約が必要であり、自治体ごとに検査日が決められていることです。
場合によっては先着順のため、検査を受けられない日もあります。そのため、仕事などで多忙な人にとっては検査日に都合を合わせるのが難しいこともあるでしょう。
急いで検査したい人にもあまり向いているとは言い難いものです。
また、4種類の疾病(HIV、梅毒、淋菌、クラミジア)についてしか調べられない点や、検査結果を確認できるまでに日数がかかる点もデメリットとして挙げられます。仮に陽性判定だった場合は、改めて病院に行く必要もあります。
病院・クリニック(泌尿器科、性病科、婦人科)で検査を受ける
病院・クリニックで検査を受けるメリットは、HIVに限らず幅広い症状に対してカバーできている点と、のどに違和感があった場合に、のどの性病検査も可能な点です。また肛門の検査まで可能なクリニックもあります。
医療機関であれば自分の都合の良い日に受診できるうえに、仮に陽性であった場合には、すぐに治療開始できるのも利点です。オンライン診療を実施している所もあります。
デメリットは、保健所と異なり検査費用が発生する点と、病院によっては匿名で受診できないことです。男性であれば泌尿器科もしくは性病科を、女性であれば婦人科を受診しましょう。
検査を受ける場合の初診料・再診療は無料で、陽性判定の場合は、無料で紹介状を作成し、HIV治療ができる病院を紹介してくれます。
HIV検査に加えて、梅毒・C型肝炎・B型肝炎の4項目をまとめて検査できるキット、13,200円(税込)もあります。
HIVに関するよくある質問
「性行為でHIVに感染する確率は?」「もしも自分やパートナーがHIVに感染してしまったら?」など、HIVに関する不安や疑問は付きませんよね。HIV感染症に対して正しい知識を持つことが大切です。ここからは、HIVに関してよくある質問3点について詳しく見ていきたいと思います。
HIVに感染する確率はどれくらいですか?
HIVに感染する確率は、0.1〜1%と決して高い数字ではありません。そのため、必要以上に心配する必要はないものの、一度の性行為でHIV感染してしまう人もいるため、性行為の際には必ずコンドームを使用するなどの予防は非常に大切です。
性行為でなくとも、キスや日常生活で感染しますか?
HIVは、主に性行為によるものや血液を介した感染です。腸管、膣、口腔内などの粘膜や、針を刺すなど血管に達するような皮膚の傷からおこります。
感染した母親から出産時に赤ちゃんに感染するケースもありますが、キスや一緒に日常生活を過ごしていくうえでうつることはほぼありません。
感染したらどのような症状がでますか?
HIVに感染した直後に出る症状としては、発熱や頭痛、倦怠感、関節痛、発疹など、ウイルス増殖に対する免疫反応が見られます。
しかし、こうした症状は風邪やインフルエンザに罹患した際の症状と非常に似ているため、見過ごされがちです。厄介なことに、一定期間を過ぎるとこうした症状がなくなってしまうため、感染した事実に気づかぬまま時が経ってしまうおそれがあります。少しでも症状がでた場合は、念の為、検査をしたほうが安心です。
不安になったら、まずは病院で検査を!
HIV感染症は、余命宣告を受けるような死の病気ではなくなったものの、決して放置しておいてよい病気ではなく、危険であることに変わりはありません。現在、HIV感染症の治療には多剤併用法が用いられていますが、HIVを根治することができず、生涯飲み続ける必要があります。
なによりも重要なのは、「HIVに感染したかもしれない」など思い当たるふしがある場合は、検査を受けて、しかるべき治療を一日でも早く開始することです。
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