淋病(淋菌)とは?感染経路・症状・治療方法
2022.10.28
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記事監修 宮島 賢也 医師
淋病は性行為で拡がっていく感染症です。とくに男性の感染者が多く、性器感染では痛みが強いのが特徴。 ただ、感染するのは性器だけとは限りません。主な症状や感染の経路、検査方法、治療法などを説明します。
目次
淋病(淋菌感染症)とは?
細菌の一種である「淋菌」に感染することで起こる性感染症。
男性の場合、まず淋菌性尿道炎を起こし、排尿時の強い痛みや膿の分泌などを発症します。 そのまま放置していると症状が進行。精巣上体炎になると、陰のうが腫れあがり、歩けないほどの痛みが出ることがあります。
女性の場合は、子宮頸管炎を起こします。おりものが増えたり、不正出血したりといった症状が現れますが、男性とは異なり、無症状のことも多くあります。
性器以外に、喉も感染しやすいですが、男女ともほとんど症状が現れません。淋病は世界的に感染者が急増しており、日本でも身近な性感染症の一つとなっています。
淋病と他疾病との違いは?
クラミジアとの違い
・男性は排尿時の痛みがクラミジアに比べ強く出る
・尿道から出る膿の量が多い
・女性は子宮頸管炎と尿道炎を併発しやすい
梅毒との違い
・梅毒のような赤い発疹が出ることはない
・梅毒でできるしこりには痛みがないが、淋病では痛みがある
膀胱炎との違い
・女性は尿道炎を併発すると、排尿時に痛みが出る
・膀胱炎のような頻尿になることはない
感染者の傾向
男女ともに感染しますが、圧倒的に男性の患者が多いのが特徴。全体としては、近年減少傾向にありますが、男女とも20代前半で増えています。
淋病になる原因|主な感染経路とは?
淋病が発症するまでの潜伏期間
淋菌に感染すると、症状が出るのは2~9日後。
症状が出るまでの期間を潜伏期間と言い、感染者の多いクラミジアや最近増えている梅毒などと比べると、比較的短い期間で発症に至ります。 潜伏期間中は尿道の痛みや発熱といった症状はほぼ現れません。
ただ近年の傾向として、潜伏期間が2週間以上もある事例や、発症後に目立った症状が出ないケースも報告されているので油断は禁物。
また女性の場合、子宮頸管への感染だけでは前述したように無症状のことが多いことから、感染時期、潜伏期間とも、はっきりさせるのが難しくなります。
【男女別】淋病の主な症状|初期症状・自覚症状
淋病(淋菌感染症)の検査方法と検査費用
淋病の治療について|受診する病院・治療法
女性:婦人科、性感染症内科
男性の場合、尿道に異常があるなら泌尿器科、女性なら婦人科と、症状のある部位の診療科を受診するのが基本。この法則に則ると、喉に異常がある場合は耳鼻咽喉科を受診することになります。 ただし、性病に特化しているわけではないこと、また診療科をまたいでの受診はできないので、性器と喉など、複数部位に症状がある場合はそれぞれの診療科で受診する必要があることは覚えておきましょう。 一般の泌尿器や婦人科のように多く存在する診療科ではありませんが、性病の検査・治療が専門の性感染症内科を受診するという選択肢もあります。性感染症内科では、泌尿器科、婦人科、内科、皮膚科など、性感染症全般が診療の範疇となり、性病に由来する症状であれば部位に関係なく治療が可能。性病に特化していますから知見も多く、治療法などにも精通していると言えます。
淋病は自然治癒する?放置するとどうなる?
淋病は自然治癒しない
結論からいうと、淋病をはじめ、性病が自然治癒することはほぼありません。
発症してしばらくすると症状が和らいだり、消えたりするのは確かですが、治療しない限り病原体の淋菌は体内に残ったままになります。他の病気のために処方された抗生物質がたまたま効く、ということはあり得ますが、淋菌のための抗生物質ではないため、やはり完全な治療は期待できません。
放置する危険性について
尿道炎になるとかなり痛みが強いので、放置することはまずないとは思いますが、仮に治療せずに放っておいたとしても、残念ながら勝手に治ることはありません。
男性の場合は、前立腺炎や精巣上体炎を発症して、治療後、無精子症になる場合もあります。女性の場合は、卵管炎や肝周囲炎などを引き起こすことがあり、妊婦が淋菌に感染したまま出産すると赤ちゃんに感染させてしまう恐れもあります。
このほか稀ではありますが、菌血症となって感染症が全身に拡がるケース、またHIVに感染しやすくなることも分かっています。
淋病(淋菌感染症)の予防方法|感染・再発しないために
性行為ではコンドームを着用する
もっとも基本的な予防法はコンドームの使用です。ノーマルな性器性交はもちろん、オーラルセックスやアナルセックスなど、性的接触の際には、必ずコンドームを使用しましょう。
さらに、フェラチオから性器性交にうつるときなど、接触する部位が変わるタイミングで必ず新しいコンドームに着けかえること。さもないと、フェラチオの相手が喉に淋菌を持っていた場合、コンドームを介して性器にうつってしまいます。
無症状でも一度検査をする
症状が強く出やすい尿道炎でも、人によっては症状が出ないことがあります。
症状が出ていなくても淋菌に感染しているのであれば、体内で症状が進行したり、パートナーにうつしたりする可能性があります。疑わしい行為があるのなら、感染の可能性をつぶすためにも検査できちんと確認しましょう。
パートナーと一緒に治療する
淋菌の場合、1回の性行為で感染する確率は30%。自分が淋病にかかっているなら、パートナーも感染していると考えるのが自然です。自分だけ治療しても、相手が感染したままでは再感染しますし、相手の症状が知らないうちに悪化してしまう恐れもあります。
こうしたことを防ぐために、パートナーにも一緒に検査を受けてもらい、陽性なら治療してもらうようにしましょう。
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