性病の潜伏期間一覧(発症まで)
2022.10.31
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記事監修 宮島 賢也 医師
性病は、感染したとしてもすぐに症状が出るわけではありません。では、まだ症状の出ていない期間でもうつるのでしょうか?そもそも感染後、どのくらいで症状が出るのでしょうか?症状が出ていなくても検査はできるのでしょうか?順に説明していきます。
目次
性病の潜伏期間とは
性病もほかの感染症と同じで、感染後、すぐに症状が出るというわけではありません。
病原体に感染してから早くても2日から1週間、病気によっては1年以上経ってから発症することもあり、これを潜伏期間と呼んでいます。
潜伏期間は性病の種類によって大きく異なります。
例えば、淋菌性尿道炎を引き起こす淋菌の潜伏期間は2~9日。
感染してすぐに発症するケースが多いのですが、同じ尿道炎でもクラミジア性の場合は菌の発育スピードが遅いことから、感染の1~3週間後と発症までの期間が長くなります。
こうした病原体自体の性質に加えて、個人の健康状態や体質にも左右されますから、一般的な潜伏期間はあくまでも目安としてとらえることが大切。
実際には、個人差が大きいことを覚えておきましょう。
潜伏期間を過ぎたらどうなる?
潜伏期間が経過すると、感染した病原体に応じた症状が現れるようになります。
梅毒を例に説明しましょう。
感染から3週間を過ぎたころ(第一期)、初期症状として感染部に硬いしこりが、しばらくして潰瘍が生じます。
痛くも痒くもなく、見えにくい部位にできれば見逃すこともあり、時間が経つと自然に消えていきます。
3ヵ月ほど経つ(第2期)と、今度は手のひらや足の裏、全身に赤い発疹(バラ疹)が現れるようになりますが、これもまた時間の経過とともに消えていきます。
このように、潜伏期間を過ぎると感染した病原体に由来する症状が様々現れます。
症状が消えることもありますが、治ったわけではなく、体内で症状が進行しているということ。
梅毒で言えば、心臓血管系や中枢神経系が侵され、10年以上経って死に至ることもあります。
また、性病だからといって性器周辺だけに症状が出るとも限りません。
喉に出ることもありますし、クラミジアのような、男女とも無症状が多い性病では、感染していることに何年も気付かないことさえあります。
性病によっては1年、HIVにいたっては10年もの間潜伏する可能性があり、気付かずにパートナーに感染させてしまうケースも。
症状の有無にかかわらず、心当たりがある場合は早めに病院で検査し、確認することが大切です。
潜伏期間でもうつる?
症状が出ていなければ、「うつらないのでは?」と思っているとしたら、それは大間違い。
症状が出ない潜伏期間だとしても、性病に感染していれば病原体が体内にあるわけですから、うつる可能性は十分にあります。
感染と症状の有無は、関係ありません。
無症状の感染のほか、喉のような、感染したことに気付きにくい部位もあります。
「え?喉?」と思われるかもしれませんが、性病に感染している性器に対して、クンニリングスやフェラチオを行えば、その行為者の喉にも感染するということは容易に想像できるはず。
とくに淋菌(淋病)やクラミジアといった尿道炎を引き起こす病原体には、オーラルセックスやキスを介して喉に感染しやすい性質があります。
喉の性病で厄介なのが、症状が現れにくいという点。
性病の病原体でも性器への感染がなければ、性器の症状は出ませんし、喉に感染しているだけでは気付けないことも多いのです。
性器の感染に比べ見逃しやすいことから、オーラルセックスは、実は性器性交よりも性病に感染する可能性が高いのです。
潜伏期間でも検査できる?
症状のない潜伏期間でも、検査をすれば、性病に感染しているかどうかが分かります。
ただ、正確な検査を行うには、一定量の病原体が必要。
量が少なすぎると検査の精度が下がるため、潜伏期間と同じく、性病の種類によって、検査のできる時期は変わってきます。
クラミジア、淋病、マイコプラズマ、ウレアプラズマは、潜伏期間は異なりますが、感染後から24時間経過していれば、十分な精度の検査が可能。
一方で、梅毒やHIV、B型・C型肝炎といった血液検査を行う性病では、血液中の抗体を調べます。
抗体とは、病原体が体内に侵入したときに身体が反応してできる物質のこと。
抗体ができるまでに時間がかかるため、検査が可能になるまでに一定の期間が必要になります。
性病の潜伏期間一覧
主な性病の一般的な潜伏期間を、部位別にまとめました。該当するものを確認しましょう。
性器や尿道に不快な症状が出る性病
セックスにより病原体が尿道や膣に入り込み、炎症を起こす等の症状が現れます。
女性:大半が無症状
女性:おりものが黄緑色になる、排尿時の痛みなど。無症状のことも多い
女性:おりものの量が増える、おりものの臭いが気になる、外陰部に痒み
女性:異臭の強い黄白色のおりもの、膣やその周辺に痒みや痛みを感じる
性器にイボやデキモノ、皮膚に症状が出る性病
セックスを介して皮膚や粘膜の小さな傷から病原体が入り込んで発症します。
女性:性器とその周辺に水ぶくれ、潰瘍ができる
女性:陰部の強い痒み、チーズ状や粥状のおりもの
女性:陰唇や会陰部などに乳頭状のイボができる
口内や喉に症状が出る性病
病原体がオーラルセックスやキスを介して喉に感染し、発症します。
その他 全身に症状が出る性病(熱、腫れるなど)
血液や体液を介して感染する病気。性行為によっても感染します。
不安になったら、まずは病院で検査を!
性病は放置していると様々なリスクを招きます。
症状がなくなり、自然に治ったかのように思えても、体内では症状が進行していて重症化したり、大切なパートナーに感染させ、不妊症にしてしまったり、HIVに感染しやすくなってしまったり、そのままにしておいて良いことは一つもありません。
「性交渉の相手が性病だった」「軽い自覚症状が出始めている」など、自分自身が感染したかもしれないと不安を感じるなら、できるだけ早く検査をしましょう。
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