梅毒の潜伏期間|最長でどれくらい?潜伏中もうつることはある?
2022.10.31
※お知らせ 東京都の梅毒感染防止に向けた検査 実施中
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記事監修 宮島 賢也 医師
梅毒は日本では、毎年5,000名の感染者が出ている非常に感染率の高い性病です。本記事では、梅毒の潜伏期間や感染後の症状、完治するまでの期間などの知識を、網羅的に解説しています。
梅毒は日本では、毎年5,000名の感染者が出ている非常に感染率の高い性病です。梅毒トレポネーマは梅毒の原因となる細菌で、感染を放置していると、「心血管系梅毒」「神経梅毒」といった重篤な症状に進行する危険があります。
そのため、梅毒が疑われる症状が出た場合は、医療機関での速やかな検査・治療が重要となります。
梅毒は、適切な治療と検査により完治が難しくない病気です。早期発見や感染が疑われた時点で、検査や治療を開始できれば、重症化や感染拡大を防ぐこともできます。
本記事では、梅毒の潜伏期間や感染後の症状、完治するまでの期間などの知識を、網羅的に解説しています。梅毒に感染している人で、なかなか治らない人はもちろん、梅毒が疑わしい症状と行為があり、不安に感じている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
梅毒の潜伏期間について
梅毒の潜伏期間はおよそ3週間といわれており、潜伏期間は男女ともに同じです。
ただし、実際の潜伏期間については個人差による影響が大きく、最短1週間程度で発症する人もいれば、最長90日程度で発症する人もいます。
また、梅毒は症状が出たり消えたりする事が続くのも特徴です。
初期の症状は2~3週間で自然に消え、そのまま放置すると3ヶ月後ごろに症状が現れます。初期の症状は、「変なしこりができたけど、すぐ治った」と見逃されるも事も多いため、「最初に症状が出たら、すでに中期まで進んでいたた」というケースは、決して少なくないのです。
また、梅毒の感染後は、性器周りだけではなく、全身に症状を発します。加えて、梅毒の症状は進行性であるため、治療しない限りどんどん悪化し、自然に治癒することはありません。
初期に現れる症状(感染から3週間後)
梅毒の感染から3週間後が経過した時期のことを「第一期梅毒」といいます。初期に現れる症状としては、肛門や性器、口唇などの感染部位に「初期硬結(しょきこうけつ)」という名の、硬いしこりのようなものが発生することが挙げられます。
通常、初期硬結には、痛みやかゆみといった症状が伴うことはありません。しかし、他の細菌との重複感染があった場合には、これらの症状が発生する場合もあります。
第1期梅毒で現れる症状は、治療をせずに放置していても、時間の経過と共に自然に消えてしまうことも特徴です。そういったことから、体の異変に気付いていたとしても、「症状が出なくなった=完治した」と勘違いしてしまい、検査を受けない人が少なくありません。
もしその症状が梅毒によるものであった場合、すぐに治療を開始する必要があります。なぜなら、梅毒トレポネーマは、血管中に入って存在しており、目には見えないところで、梅毒は第二期へと着実に進行していくためです。
【第一期梅毒の発症症状】
中期に現れる症状(感染から3ヶ月後)
梅毒の感染から3ヶ月が経過した時期のことを「第二期梅毒」といいます。中期に現れる症状としては、発熱や倦怠感、頭痛、のどの痛み、リンパ腺の腫れ、食欲不振、体重減少などが挙げられます。
さらに、梅毒性バラ疹・丘疹性梅毒疹・梅毒性乾癬・膿疱性梅毒をはじめとする梅毒特有の症状が発生する場合もあります。
また、第二期梅毒に進行した人のうち、約半数の人に、全身のリンパ節の腫れが起こり、さらに約1割の人はほかの臓器が侵されます。目に炎症が起きたり、骨や関節に強い痛みが生じるケースもあります。
またごく少数ではありますが、肝臓の感染症によって、腹痛や黄疸という皮膚や白眼の部分が黄色くなる症状が起こり、尿の色が濃くなることもあります。脳、内耳、目に感染したために、頭痛や聴覚・視覚・平衡感覚などに障害が生じる人もいます。
この段階の症状も、第一期と同じく、時間の経過と共に消滅しますが、症状が消えたところで、梅毒そのものが完治したわけではないため、当然のことながら適切な治療が不可欠となります。
【第二期梅毒の発症症状】
中期以降の潜伏期梅毒
梅毒の感染から10年が経過した時期のことを「第三期梅毒」といいます。中期に現れる症状には、皮膚、筋肉、骨、肝臓などあらゆる臓器に現れる、硬いしこりやゴムのような腫瘍(通称:ゴム腫)の発生が挙げられます。
また、神経障害や脳梗塞、心不全などの病変が生じ、最悪の場合は死に至ることもあります。しかし、現在では、比較的早い段階から治療を開始する症例が多く、抗菌薬が有効であることから、第三期梅毒に進行することは、ほぼありません。
【第三期梅毒の発症症状】
梅毒の感染率について
感染から1年未満の梅毒感染者と、性交渉した場合の、梅毒の感染率は約30%と高いものです。また、潜伏期間であっても人にうつしてしまう危険があるため、気が付かないうちに感染が拡大していたという事態にもなりかねません。
梅毒の感染率は、感染後の期間が経つほど低下していきます。感染から1年後くらいまでは感染率が非常に高く、4年が経過すると性交渉では感染しにくいレベルにまで、感染率が低下します。
梅毒の感染を予防するためには、性行為の際にコンドームを着用するのがおすすめです。ただし、コンドームを着用しているからといって、100%梅毒の感染を防止できるわけではないため、注意が必要です。
いずれにしても、不特定多数の相手との性行為は避け、なるべくコンドームを着用することで、自分の身を守りましょう。
感染経路について
梅毒の感染経路は主に、ノーマルセックス、オーラルセックス、アナルセックスなどの性行為です。
また、梅毒はコンドームでは覆えない箇所の皮膚に感染することもあるため、コンドームを着用していたとしても、感染の可能性は完全には払拭できません。
梅毒は、粘膜を通して感染します。膣や亀頭の表面、直腸など極めて敏感な部位の粘膜に病原体の「梅毒トレポネーマ」が、小さな傷口を通して体内に入り込むことで感染が広がっていくのです。
特に、アナルセックスは直腸を傷付けやすいこともあり、梅毒の感染リスクが極めて高い行為といえます。
このような共用施設の使用は、下半身を露出するため、どうしても感染の可能性を完全に否定することはできないのです。
しかし、梅毒トレポネーマは、熱や乾燥に弱いため、一度粘膜や体液から離れると生存しにくい特徴を持っています。そのため、日常生活のなかで感染する可能性は限りなく低いといえます。むやみに怖がらず、正しい知識や理解を深めましょう。
潜伏期間中の梅毒の検査について
潜伏期間中は検査をしても正しい結果が出ません。正確な検査を行うには、一定量の梅毒トレポネーマが不可欠で、量が少なすぎると検査の精度が低下します。
そのため、感染機会からあまり時間が経過していない状況で検査を受けると、正確な検査結果が得られません。梅毒への感染が疑われる場合には、感染機会から3〜4週間経過後に、検査を受けましょう。
「心当たりがない」のに梅毒に感染する?
梅毒は感染しても初期の症状に気づかないことが多いものです。そのため自分が感染していることに気付かず、相手にうつしてしまい、感染拡大してしまうのが、梅毒の怖さです。
下記で、梅毒の主な感染ルートや、梅毒の感染に気づきづらい理由について紹介します。
梅毒は人によって潜伏期間が異なるうえ、第一期の症状に気づかずに、第二期に気づくケースも珍しくありません。そのため、知らぬ間にパートナーにうつしていることがあるのです。
実際に、パートナーが風俗店勤務や、不特定多数との性交渉の疑いがない場合、自分は感染していないだろうと安心してしまう人は少なくありません。
しかし、実際にはキスでも感染する梅毒は、普通の人でも感染している可能性が十分にあるのです。また、誰からうつったのかわかりづらいため、パートナーから浮気を疑われるおそれもあります。
しかし、梅毒トレポネーマは、熱や乾燥に弱いため、一度粘膜や体液から離れると生存しにくい特徴を持っています。そのため、日常生活のなかで感染する可能性は限りなく低いといえます。むやみに怖がらず、正しい知識や理解を深めましょう。
梅毒は、性感染症であるがゆえに検査を受けるのが恥ずかしいという思いがあるかもしれません。
しかし、感染から長い年月が経ってしまっては、取り返しがつきません。後々、「あの時検査を受けていれば…」と後悔しないためにも、思い立ったらすぐ検査を受けましょう。
完治するまでの期間
梅毒が治るまでの期間は、発見された時点で第何期に突入しているかで異なり、個人差もあります。しかし、一般的には第一期の場合は、2~4週間程度、第二期の場合は4~8週間程度、第三期の場合は、約12週間前後で完治できるといわれています。
また、医療が発達した現代では、梅毒で死に至るケースはほとんどどなく、発見さえ遅くなければ、比較的簡単に治癒が望めます。
不安になったら、まずは病院で検査を!
梅毒に限らず性病は、放置しているといろいろなリスクが考えられる、恐ろしい病気です。梅毒はとくに放っておくと危険なため、早めの治療が肝心です。
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