性病検査キットの使い方について | 信頼性は?ドラッグストアで買える?いろいろな疑問にお答えします

2022.10.31

性病検査キットの使い方について | 信頼性は?ドラッグストアで買える?いろいろな疑問にお答えします

記事監修 宮島 賢也 医師

排尿時の痛みや性器の痒みなどの症状が出た場合、性病に感染している可能性があります。病院に行くのは怖い、人に知られたくないなど、性病の検査には不安を感じるものです。本記事では、性病検査キットの概要や特徴、検査方法などの使い方について詳しく解説します。

排尿時の痛みや性器の痒みなどの症状が出ると、性病に感染している可能性があります。病院に行くのは怖い、人に知られたくない、早く検査したいなど、性病の検査には不安を感じるものです。

上記の悩みを解決したうえで、できるだけ早く検査するには、検査キットの使用がおすすめです。検査キットは、誰にも見られず自宅で検査ができます。検査キットや検査内容について事前に理解しておくと、安心して検査を受けられます。

本記事では、性病検査キットの概要や特徴、検査方法など、性病検査キットの使い方について詳しく解説します。

性病検査キットについて

性病にかかったかどうかを調べるには、病院や保健所などで検査を受ける方法があります。近年では、自宅でも診察が受けられるオンライン診療や、自宅で検体を採取して送付する検査キットを使った検査も可能です。

病院で性病検査を受けるには、男性は泌尿器科および皮膚科、女性は産婦人科への受診が必要です。ほかにも、性病を専門に扱うクリニックでは、匿名で検査が受けられるところもあります。専門クリニックは保険適応外の自由診療のところが多く、素早く検査が行えて、治療もすぐに始められる利点があります。

性病という性質上、病院へ行くのはハードルが高いと感じる人が多いのも事実です。病院では、診断に必要な問診や質問などを行うため、治療に必要と分かっていても抵抗を感じるでしょう。感染したかどうかを少しでも早く知りたいときに、検査キットの使用は有効な手段です。

性病検査キットを使って調べられる性病

性病検査キットでは、以下の性病に罹患しているかどうかを検査できます。

  • ・HIV
  • ・梅毒
  • ・性器クラジミア
  • ・咽頭クラジミア
  • ・性器淋病
  • ・咽頭淋病
  • ・皮膚カンジダ
  • ・性器カンジダ
  • ・HPV
  • ・B型肝炎
  • ・C型肝炎
  • ・性器マイコプラズマ
  • ・咽頭マイコプラズマ
  • ・性器ウレアプラズマ
  • ・咽頭ウレアプラズマ
  • ・トリコモナス

上記のうち、男女別でどの性病を調べたいのかによって、使用するキットが変わりますが、喉で調べる一部のキットは男女共通で使用できます。キットの検査可能項目を確認し、適切なキットを使いましょう。

性病は、10代から40代以上まで、どの年代でも発症する可能性がある病気です。中でも性器クラミジアや淋病(淋菌感染症)などは、10代から20代の発症が多くなっています。

自覚症状を伴わない性病もあり、放置をすると、症状の悪化および、周囲に広めてしまう可能性が高まるだけでなく、不妊症にもつながりかねません。少しでも自覚症状を感じるものの、病院へ行く時間がとれない・行くのがためらわれる・近隣に受診できる病院がないなどの理由があれば、早急にキットを使って検査しましょう。

検査キットを使った検査方法について

実際に、検査キットを使って検査するには、どのような流れで進めていくのでしょうか。検査の流れやキットの使い方など、検査キットを使った検査方法を解説します。

  • 検査の流れ
    検査の流れとしては、まずインターネットから検査キットを購入します。性病ごとにキットが異なるため、間違えないように購入しましょう。
    数日後に、キットが自宅に届きますので、キットを使って検体を採取します。検体が正しく採取できないと、正しい検査ができなくなることもあるため、十分気を付けて採取しましょう。
    採取できたら、検体を郵送します。その後数日で、Webで検査結果がチェック可能です。
    医師によるオンライン診療を受けたのちに検査キットを使用する場合は、使用前にオンライン診療を受ける必要があります。
    オンライン診療後に、キットや薬などが自宅へ郵送されます。検査結果は即日出るのではなく、数日かかります。結果は、電話もしくはインターネットでの確認が可能です。
    オンライン診療では、皮膚の視診や陰部の診察、HIV・梅毒・肝炎・ヘルペスの採血検査などには対応していません。詳細な検査を希望する人は、オンライン診療ではなく実際に病院の受診が必要です。 オンラインでの検査および診療代は、病院での診療代と同じです。ただし、キットや薬の送料実費や、オンライン診療に必要なアプリの使用料などは、別途発生します。

検査キットの使い方

検査キットの使い方は、キットごとで異なりますが、イラストを用いた説明書が同封されていますので、初めて使う場合も安心です。検査をする検体ごとに、キットの使い方を簡単に解説します。いずれの検査キットも、ラベルシールが付属されている場合は、採取前に採取日と氏名を記入しておきましょう。

採血検査

検体として血液を採取するときは、ランセットと呼ばれる採血器具を使用し、指先から採血します。針を刺しても痛みを感じにくい構造であり、注射が苦手な人でも検査しやすいように工夫されています。

一度使うと再使用はできず、感染リスクを大幅に軽減できるのもポイントです。採血の大まかな手順を見てみましょう。

  1. 1.手を洗ってしっかり乾かしたのち、採血をする指に採血テープを貼ります。指先が湿っていると、テープが剥がれてしまう可能性があるためです。
  2. 2.血液を出やすくするために、手が温まったことを確認してから、指の腹にランセットを当て、針を刺します。採血中に指先が動かないよう机に置き、採血しやすい体勢で行いましょう。
  3. 3.採血テープの上に大きな血玉ができるまで、指先を押します。
  4. 4.血玉ができたら、採血チップの先端を血玉にあてます。このとき、真横からあてるように心がけ、チップに血液を染み込ませましょう。
  5. 5.採血線まで血液が染み込んだら、チップを容器に戻します。血液全体が良く混ざり合うよう数回振ったら、採血は終了です。

上手に採血するには、血玉を作るときに3方向から押し出すことが大切です。また、血液を出しやすくするために、指の第二関節付近を圧迫すると効果的です。

尿検査

尿を採取するときは、以下の手順でおこなうとスムーズに進められます。また、前回の排尿から1時間以上空けて、採取しましょう。

  1. 1.採尿コップに尿を取ります。このとき、必ず出始めの尿を取るようにしてください。性病の原因となる菌は、出始めの尿に含まれているためです。
  2. 2.付属のスポイトを使って、尿を検査容器に入れます。容器に記載されている規定のラインまで入れましょう。
  3. 3.検査容器の内側に付いている試薬と尿を混ぜるため、キャップをしっかりと閉め、こぼれないようにしてから、検査容器を数回振ります。採尿コップとスポイトはすぐに破棄してください。
  4. 4.検査容器にシールもしくはバーコードなどを貼り、ビニール袋などに入れたうえで検査先へ速やかに提出します。

喉の検査

喉の検査には、うがいによる検体採取・めん棒による検体採取の2通りがあります。うがいでの検体採取は、以下の手順で進めましょう。採取前には、食事・歯磨き・うがい・ガムをかむ行為などは止めましょう。

  1. 1.うがい用の生理食塩液を、15mlから20mlほど口に含み、飲み込まないよう注意しながら勢い良くうがいをします。15秒から20秒ほどうがいをしましょう。
  2. 2.うがいをした液全量を、採取用コップに入れます。このとき、痰を入れると検査ができなくなるため、痰を入れないように気をつけましょう。
  3. 3.付属のスポイトを使って、うがい液を検査容器に入れます。尿検査同様、規定のラインまで入れましょう。液を入れたのち、キャップを閉めてから、試薬と混ぜ合わせるため数回振ります。
  4. 4.検査容器にシールもしくはバーコードなどを貼り、検査先へ提出します。

めん棒による採取検査

めん棒による喉の検体採取は、以下の手順で進めます。検査精度を上げるために、採取30分前の飲食や歯磨きは避けましょう。

  1. 1.キットに付属されているめん棒を使って、口蓋扁桃(口の中、いわゆる「のどちんこ」の両側)の粘膜を採取します。めん棒は滅菌されており、粘膜以外の箇所(特に手)に当たらないよう注意しましょう。また、できるだけ唾液が付着しないよう採取しましょう。
  2. 2.めん棒を容器に入れ、しっかりフタを閉めます。
  3. 3.容器にラベルシールもしくはバーコードなどを貼り、検査先へ提出します。

検査はいつからできる?

性病検査ができる時期は、検査を受けたい性病や項目によって異なります。正確な検査結果を出すためには、タイミングを合わせて検査を受けることが大切です。

感染した可能性のあった時から、確実な結果が判明するまでの時期は、以下のとおりです。

  1. B型肝炎 2~3ヶ月経過後
  2. C型肝炎・HIV・梅毒 3ヶ月経過後
  3. クラジミア・淋病・トリコモナス 1日経過後
  4. カンジダ 随時検査可能

上記の性病のうちHIVと梅毒は、1ヶ月が経過すると個人差はあるものの、検出可能になる場合があります。

肝炎・HIV・梅毒の検査は、検査を受けられるまでに長い期間をおかなくてはいけません。いずれも血液での検査が必要ですが、ウイルスや菌が体内に入ることで作られる抗体が十分な量になるまで、時間がかかるためです。抗体が結合して力を発揮することで、病原体は感染性や毒性を失います。

複数の検査を同時に受ける場合は、検査できる時期をしっかり確認したうえで受けるようにしましょう。

性病検査キットの特徴

性病検査キットを使って調べられる性病や使い方などを解説してきました。検査キットを使うことで、ほかの検査方法と比べて、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

ほかの検査と比べたメリット・デメリット

検査の手軽さに関しては、検査キットはほかの検査方法に比べてかなり高いといえます。誰にもばれずに匿名で検査できるうえ、PCやスマホから検査結果を確認できます。費用も病院より安く、結果を早く知りたい人におすすめです。

保健所では、性病検査を無料で受けられます。コストパフォーマンスが高い点は大きなメリットですが、実施日や保健所が指定されているため、手軽とはいえないのが実状です。

安心感や、万が一、性病に感染していた場合の治療を考えると、病院での検査が最も優れています。キットを使った検査では治療はできませんが、病院で検査して感染が分かればすぐに治療を始められます。

病院のオンライン診療を利用し、自分で検査キットを使って検査する方法は手軽にできるうえ、すぐに医師による治療が始められます。このため、病院のオンライン診療が最も良い手段でしょう。検査方法に迷ったら、オンライン診療が受けられる病院を探してみることをおすすめします。

検査キットについてよくある質問

検査キットを使う前には、さまざまな疑問や不安が出てくるものです。事前に解決しておくと、安心して検査キットを使うことができます。質問の中でも、よく聞かれる内容について解説します。

検査キットの精度は?検査結果は信頼できますか?

近年の検査キットは、精度が高いものが多く、病院で検査を受けるのと同じ内容で受診可能です。キットの使い方も簡単で、失敗する確率も低くなっています。

万が一、検体不良のために正しい検査ができなかった場合は、検査結果の確認画面に表示されますので、検査先へ連絡して指示を仰ぎましょう。検査結果と自覚症状を照らし合わせて、不安な点があれば必ず病院へ問い合わせるようにしましょう。

検査キットは市販されていますか?ドラッグストアでも買えますか?

検査キットはドラッグストアでは購入できず、インターネットからであれば購入可能です。支払い方法は、クレジットカード・コンビニ支払い・代金引換・ペイジーなどから選択できることが一般的ですが、サイトごとで異なりますので確認してから購入しましょう。

キットは、中身が分からないように送付され、商品名も「雑貨」「プラスチック製品」などと記載されています。発送元は、基本的に会社名が記載されていますが、個人名での送付を依頼できる場合もありますので、気になる人は問い合わせてみましょう。

検査キットを使って陽性が出たらどうすればいいですか?

陽性が出たら、まずは病院を受診しましょう。すぐに治療が必要な場合もあれば、疑陽性の場合もあります。疑陽性の場合は再検査をしたうえで正式な結果を出し、必要な措置を取ります。

陽性が出たのに病院へ行くのが恥ずかしいと思うあまり、ネット購入や個人輸入など、薬を自己判断で購入することは絶対に止めましょう。

宮島 賢也
GOETHEメンズクリニック八重洲院 院長
性感染症は、専門の医師に診察してもらうことが大切です。これからも患者さんから、『ありがとう』『助かったよ』と言ってもらえるような診療を続けていけるよう研鑽してまいります。お気軽にご相談ください。