毛じらみの症状・原因・見つけ方について|ただしい治療方法を解説します

目次     陰毛に寄生した毛じらみが原因で発症する毛じらみ症。園児や小学校低学年の児童に時々流行するアタマジラミに比べると発生する数は少ないですが、決して昔の病気ではなく、現代でも感染し得る病気です。

毛じらみとは

毛じらみ症は、吸血性の毛じらみという虫が人に寄生して発症する病気です。毛じらみはしらみの一種で体調は1mm前後。肉眼でも何とか見つけることのできる大きさです。血を吸うときに皮膚をかみ、かまれた箇所には強いかゆみが現れます。このかゆみには、毛じらみの唾液に対するアレルギー反応が関係していると考えられています。     寄生する場所は主に陰毛ですが、毛じらみはあまり移動しないため、同じ場所を何度もかまれてかゆみはどんどん増していきます。      

毛じらみは近年増えている?

毛じらみは戦後の混乱期に全国的に広く流行しましたが、その後、衛生環境が画期的に改善されたことで、ほかのシラミとともに数が激減しました。 &nb   sp; とはいえ、現在でもなくなったわけではありません。毛じらみの寄生する場所が主に陰毛のため、はっきりした被害は分かりにくいのですが、他の性感染症と同様、1970年代以降増加傾向にあり、海外との交流が盛んになったことがその一因だと言われています。成人の男女間のほか、家庭内感染の報告もわずかながらあるようです。      

毛じらみの症状について

毛じらみが吸血するときに皮膚をかまれ、そこに強いかゆみの症状が現れます。     毛じらみに感染すると、かゆみを自覚するようになるのはだいたい1~2カ月後から。初めはちくちくと刺すようなかゆみがあり、だんだんと強いかゆみに変わっていきます。感じ方には個人差があり、数匹寄生しただけで激しいかゆみを感じる人もいれば、大量発生していてもかゆみを感じない人もいます。     毛じらみが寄生する場所は主に陰毛で、かゆみが現れるのも陰毛の生えている部分になりますが、肛門周辺や太もも、胸毛、わき毛などの体毛や、場合によっては、ひげ、まつげ、眉毛、頭髪にまで感染が拡がることもあります。     毛じらみにかまれても、蚊に刺されたときのような発疹はできません。しかし、かゆみのあまり皮膚を掻き壊してしまうと、掻破性湿疹ができたり、細菌感染を起こしたりすることがあります。また長期間にわたり血を吸われていると、皮膚に青灰色の斑点ができることもあります。      

毛じらみの原因

毛じらみ症を起こすのは、毛じらみというシラミの一種。体長1mm前後と、肉眼でも何とか見えるくらいの大きさで、色は少し茶色がかった白色、形は円形に近く、触覚と3対の脚を持ちます。その姿がカニのように見えるため、別名カニジラミとも言います。     エサは人の血。主に陰毛に寄生して血を吸います。毛の根元の方にくっついていることが多く、毛にゴマを振ったように見えることがあります。下着に黒い点状のシミがつくのも特徴。これは毛じらみが人の血液を消化した後の糞で、血糞と言います。      

幼虫~成虫まで一生にわたり血を吸う

毛じらみは、幼虫から成虫まで、メスもオスも、生きるために血を吸います。吸血の頻度は1日に数回。血液を栄養として成長し、脱皮を繰り返しながら成虫になります。     毛じらみの卵は、たいてい、毛の根元近くに産み付けられます。卵の色は灰色を帯びた白色、光沢があって、卵円形をしています。毛に対して斜めに産み付けられ、毛の根元に近い方がセメントのような物質でしっかりと固定されていて、少々洗ったぐらいでは取れません。     陰毛に産み付けられた卵は7日前後で孵化すると、脱皮をしながらだいたい3週間~4週間で成虫になります。メスは成虫になると交尾をし、すぐに卵を産み始めます。毛じらみは成虫になってからも3週間~4週間ほど生き、メスはその間、30個~40個の卵を産みます。その卵がまた孵化して、脱皮をして成虫になり…と繁殖していき、そのままにしておくと延々と血を吸われることになります。毛じらみが自然にいなくなることはまずなく、駆除が必要になります。      

毛じらみに似たシラミ

シラミは寄生する宿主への特異性が強く、人に寄生する種は他の動物には寄生しにくく、他の動物に寄生する種は人に寄生しにくいという特徴があります。人に寄生するシラミには毛じらみの他にはヒトジラミがいます。 &nbsp      

アタマジラミ

アタマジラミは、ヒトジラミの一種で頭髪に寄生します。頭髪と頭髪の接触で感染するため、頭をくっつけて遊ぶ、園児や小学校低学年の児童の間で流行ることが多い病気。現在日本で見られるシラミのほとんどがこのアタマジラミです。     アタマジラミの体長は2~4mmほど。卵は約7~10日で孵化し、脱皮を繰り返して1週間~2週間で成虫になります。成虫になってからは1カ月ほどの寿命で、メスは1日あたり3個~4個、1カ月でざっと100個もの卵を産みます。     頭髪に寄生しているときは素早く動き回るため、成虫を見つけるのは難しいのですが、卵は側頭部や後頭部、耳の後ろなどをよく観察すれば見つかります。色は灰白色、形は楕円、0.5mmほどのサイズで髪にしっかりとくっついています。指でつまんでも簡単に取れないようなら、たいていアタマジラミです。      

コロモジラミ

コロモジラミもヒトジラミの一種。衣類に寄生し、下着や衣類を取り換えることが困難な生活をしている人から見つかります。体長は2~4mmほどで見た目はアタマジラミに似ているのですが、発疹チフスや塹壕熱、回帰熱といった感染症を媒介するため、注意が必要です。     コロモジラミは1回の吸血で3日ほど生き、血を吸うときに皮膚へ移動します。吸血を終えると衣類に戻っていき、シャツの縫い目や襟口、袖口、ズボンのベルト周囲の裏、パンツのゴムの縫込みといった衣服の縫いしろに潜り込んでじっとしています。メスが卵を産み付けるのも、こうした衣服の縫いしろ。     シラミは熱に弱いので、駆除するには、熱湯処理や衣類乾燥機、アイロンのほか、ドライクリーニングが有効です。見つけるときは小さなお米が動いていると思って探すと見つけやすくなります。      

トコジラミ

シラミという名前が付いているものの全く別の虫で、カメムシの仲間。別名南京虫とも呼ばれます。日中は部屋の壁や柱の割れ目、家具のすき間等に潜んでいますが、夜になると人の血を吸いに這い出してきます。     トコジラミの体長は、成虫は5~8mmほど。色は赤褐色、形は円盤状をしています。足や腕、首といった露出している部分を刺しますが、吸血時間は約9分と長く、刺し口を変えて吸うことから痕が複数残ることもあります。潜んでいる場所の周辺に排泄の黒い汚れを残すので、見つけるときの目印になります。      

毛じらみの感染経路について

毛じらみは、人から離れると長くは生きられないため、性行為等、寄生部位との直接接触のある行為が主な感染経路になります。      

性行為による感染

毛じらみは、陰毛から陰毛へとうつっていくため、陰毛と陰毛が直接接触する性行為が主な感染経路になります。毛のある場所であれば寄生できることから、オーラルセックスで陰毛が頭髪等、顔回りの毛と接触すれば、顔回りの毛にも感染が拡がる可能性があります。      

母子間や共有物の使用による感染

母親と子どもは接触が密になるため、母子間での感染もあります。子どもでは、眉毛や頭髪に寄生するケースも稀にあります。寝具や便座カバー等を介した間接感染もありますが、毛じらみは人から離れると48時間ほどしか生きられず、1日の移動距離も10cmほどのため、確率としてはかなり低くなります。      

注意!お風呂に入っても毛じらみは死なない

ある程度、毛じらみの成虫を身体から洗い流すことはできます。が、残念ながら、お風呂のお湯程度の熱さでは殺虫することはできず、むしろ他の人にうつす可能性があります。また毛じらみの卵にいたっては洗い流すこともできません。タオルの共用もうつす可能性がゼロではないので控えましょう。      

毛じらみの潜伏期間

かゆみを自覚するまでの期間は、1カ月~2カ月程度です。ただし、毛じらみが自分の陰毛に引っ越してきた時点で寄生自体は始まります。毛じらみは1日に10cmほどしか移動できませんが、裏を返せば、1匹でもいれば、それなりに移動して人の陰毛にうつる可能性があるということになります。      

毛じらみの検査と検査費用について

毛じらみは肉眼で見えることもありますが、陰毛以外にも感染していると、自分で見つけることはほぼ不可能です。他の性感染症にかかっていることも多いですから、きちんと受診して検査を受けましょう。      

検査法について

視診を行って、毛じらみの成虫や卵の有無を確認します。拡大鏡での観察のほか、陰毛を採取して、卵を顕微鏡で調べて判断します。このほか、下着に毛じらみの血糞である、黒点状のシミが付いていないかどうかも参考になります。      

検査費用

毛じらみ症     5,500円(税込)       拡大鏡を使って、陰毛部分の視診を行います。とくに潜伏期間はありませんので、検査はいつでも可能です。また、当院は自由診療になりますので、具体的な症状がなければ対応できない保険診療とは異なり、「毛じらみに感染したかもしれない」という可能性の段階でも検査することができます。      

毛じらみの治療について

抗寄生虫薬を用いて、毛じらみの駆除を行います。治療と同時に、衣服や寝具をドライクリーニングやアイロン等で熱処理しておくと安心です。      

治療方法

毛じらみの駆除にはフェノトリンという抗寄生虫薬を使います。形状はパウダーと液剤の2種類あり、スミスリンパウダー(0.4%フェノトリンパウダー)、スミスリンL(0.4%フェノトリンシャンプー)として市販されています。どちらも陰毛に適量をつけ、パウダーは1~2時間後、液剤は5分後に洗い落とします。     また、陰毛を剃るという処置を行うこともあります。剃毛が不完全だと周辺の毛に毛じらみを拡げてしまうことがあるため、自己処理は安易に行わない方がよいでしょう。      

治療費用

毛じらみ症     22,000円(税込)       診察・検査で、ケジラミの成虫や卵を確認した場合、当院ではローションタイプの塗り薬を処方します。担当医の指示に従って、必要な量を必要な期間、使うようにしてください。      

治療期間と判定

国内で現在認可されている薬剤は毛じらみの卵への効果が弱く、孵化後を狙って処置する必要があります。そのため、駆除には2カ月ほどかかります。治療期間中は、できれば白い下着を着けていただき、毛じらみの血糞である黒点状のシミの有無を観察してもらいます。シミがつかないようになれば、毛じらみ症は治ったと考えてよいでしょう。      

毛じらみについてよくある質問

すでに何回か薬剤で治療しているから、性行為をしても問題ないよね?毛じらみに感染したとはパートナーに伝えにくいけれど、やっぱり言っておくべき?等、よくある質問についてお答えします。      

毛じらみの治療中に性行為をしても大丈夫ですか?

毛じらみの駆除には、約2カ月かかります。治療中ということは、すなわち、まだ完全に駆除できていないということ。パートナーにうつす可能性が高いので、性行為は控えましょう。      

毛じらみを予防するためには何をすればいいですか?

毛じらみ症は性行為でうつる性感染症です。性感染症の多くはコンドームで防ぐことができますが、毛じらみ症の場合、感染部位をコンドームでカバーすることができません。また、たとえ性行為をしなかったとしても、寝具や衣類、タオル等を介して感染する可能性はゼロではなく、予防はできないと考えた方がよいでしょう。      

毛じらみに感染したことを彼氏(彼女)に言えずにいます。伝えるべきでしょうか?

パートナー間で病気をうつしたり、うつされたりを繰り返すことをピンポン感染と言います。毛じらみ症も人から人へうつる性感染症である以上、ピンポン感染を起こす可能性は十分にあります。自分自身の感染がはっきりしている場合、少なくとも前月内のすべてのセックスパートナーに感染のリスクがあります。感染を伝えて検査してもらい、治療も一緒に受けてもらうようにしましょう。     なお、双方の治療が完全に終えるまで性的接触は控えましょう。      

感染が疑われる場合はすぐに検査、治療を受けましょう

毛じらみは、体長1~2mmほどの小さな虫で、人に寄生するシラミの一種。主に陰毛に寄生し、性行為を介して感染していきます。オーラルセックスで喉へうつることはありませんが、毛があるところには拡がっていくので、ヒゲやまつ毛、眉毛、頭髪も、陰毛と触れ合えば感染する可能性があります。     毛じらみに感染すると、おおよそ1カ月~2カ月でかゆみが出始めます。ただし感じ方には個人差があり、毛じらみが数匹いるだけで猛烈なかゆみを覚える人もいれば、大量に繁殖していてもあまりかゆみを感じない人もいます。症状はかゆみのみで湿疹は出ませんが、かゆみがひどく陰部を掻き壊してしまうと、そのせいで掻破性の湿疹ができたり、細菌等の二次感染を起こしたりすることがあります。     放置しても感染を拡げるだけですから、少しでもおかしいと感じたらすぐに検査を受けましょう。GOETHE MEN’S CLINICでは即日の検査が可能で、治療もその日からすぐに始められます。ほかの性感染症と同じく、毛じらみ症もピンポン感染を起こします。パートナーにも検査・治療を受けてもらうことが大切です。      

料金について

クリニックへのアクセス

記事の監修者:野口 真康
GOETHEメンズクリニック八重洲院 院長
日本性感染症学会 会員