尖圭コンジローマは治療すべき?自然治癒する?|治療法と原因 男女別の症状を解説
2022.10.28
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記事監修 宮島 賢也 医師
陰部にできたおかしなイボ。ちょっとした異常が起こるだけでも気になる部位なのに、見た目にグロテスクなイボができたら、とても不安になります。
ネットでいろいろ調べていくうちに「尖圭コンジローマ」という病気に行き当たり、このページに来てくださった方も多いと思いますが、そのイボは治療しないとマズいものなのでしょうか。放っておいたら自然に治るということはないのでしょうか。
確かによく似た形のイボで病気でないものも存在します。ただ本当に尖圭コンジローマだった場合、見ないふりで放置しても恐らく治りません。病院での治療が必要です。踏ん切りがつかず病院へ行く気になれないのなら、まずは尖圭コンジローマについて知ってください。
目次
尖圭コンジローマとは?
「ヒトパピローマウイルス(HPV)」という、生殖器とその周辺の粘膜にイボを作るウイルスによる性感染症です。
「尖圭(せんけい)」とは尖っている(とがっている)という意味で、その名の通り、先端の尖った大小のイボができます。
イボ以外の自覚症状が出ないことが多いのですが、イボの数が増えたり、大きくなったりすると、痛みやかゆみといった自覚症状が現れやすくなります。
イボのサイズが小さかったり、見えにくい部分にできたりすると気づきにくくはあるのですが、先端が尖っているので他の病気とは見分けがつきやすいイボです。
例えば梅毒で発症する扁平(へんぺい)コンジローマは平らで滑らかなイボ、ほかのウイルス性のイボも表面がザラザラしていたり、形がドーム型だったりします。
尖圭コンジローマ患者数は男性では増加傾向にある
ここ10年で見ると感染者数全体の推移は横ばいながら、男性では増加傾向が見られます。
男女別では男性の方が多くなりますが、これは男性器が表に出ていて目につきやすく、気付きやすいのも一因。
女性の場合は膣内にできてしまったら検査しない限り気づけません。
年代では20代の患者数が圧倒的。20代前半までは女性の方が多いことから、今後女性も増えることが予測されます。また医療機関を受診していない人も含めた実際の罹患者数はもっと多くなります。
尖圭コンジローマの原因
イボの原因となるヒトパピローマウイルスはこれまでに150種以上の遺伝子型が発見されていて、そのうちのいくつかが尖圭コンジローマを発症させます。
イボができるメカニズムと、他にどんな病気の原因になるのか、見ていきましょう。
ヒトパピローマウイルスが感染するのは皮膚や粘膜です。皮膚も粘膜も、ウイルスや細菌、その他有害なものから身体を守るシールドの役割を果たしています。性行為等、何かのきっかけでシールドに小さな傷ができると、その傷からウイルスが入り込んで皮膚や粘膜の基盤となる細胞に感染。感染を受けた細胞はウイルスを抱えた状態で次々に細胞分裂を起こし、正常な細胞を押しのけてどんどん増えていきます。
こうしてできた感染細胞のかたまりがイボ。ヒトパピローマウイルスは、健康で傷のない皮膚には感染できないと考えられているので、予防するには傷つきやすい部位ほど気を付ける必要があるということになります。
ヒトパピローマウイルスが原因で発症する悪性の病気としては、男性では陰茎がん、女性では子宮頸がん、膣がん、外陰がんがあります。喉頭咽頭がん、肛門がんの原因になることもあります。
良性のイボとしては、手足にできる尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)、手や額、頬、ひざ下などにできる青年性扁平疣贅、呼吸器にできる腫瘍で喉頭乳頭腫などがあります。尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルスも、ローリスクな型になります。
主な感染経路について
尖圭コンジローマは、そのほとんどが性行為や、性行為に類する行為によって感染します。
性感染症であるからには、コンドームを着用することでかなり防げるはずですが、この病気の場合、会陰部や肛門など、わりと広い範囲に症状が現れるので、コンドームでカバーし切れないこともあります。
実際、感染者との性行為でうつる確率は非常に高く、60~80%と言われています。詳しく解説します。
オーラルセックスをしていれば、当然、口にも感染します。喉や舌、口腔内に、性器や肛門と同じように先の尖ったイボができます。口腔内にできたコンジローマは口内炎と間違いやすいのですが、痛みがあれば口内炎、痛みがなければ尖圭コンジローマと、痛みがあるかどうかで判断できるので目安にしてください。
オーラルセックスを介して性器から口、口から性器へとウイルスは拡がっていきますが、キスを介して口から口へうつる可能性もあります。コンジローマは口腔内だけでなく唇にできることがあり、相手の唇が感染していれば、ディープキスではない通常のキスでもうつることは十分にあり得るのです。さらに、ヒトパピローマウイルスが付着している手で性器に触れても、やはり感染する可能性があります。
基本的には直接接触で感染するので、タオルの共用等でうつることはほぼありません。また、皮膚に傷や炎症があると、より感染しやすくなります。
主な症状について
イボは、白、ピンク、褐色、黒色など、色はさまざまで、サイズは径2~3ミリ大から指の先くらい。先の尖った形や乳頭状のイボが徐々に増えていき、大きくなるとニワトリのトサカやカリフラワーのような状態になることもあります。
ただ、症状の進み方には個人差があるので、イボが大きくなるスピードや増えるスピードは人それぞれ。自覚症状はほとんどありませんが、イボの大きさやできた場所によって痛みやかゆみが出る場合もあります。
イボの色は白やピンク、褐色、黒色などさまざま。径2~3ミリ大から指先くらいの大きさが多く、形は先が尖っていたり、乳頭状だったりします。イボの数が増えて大きくなると、ニワトリのトサカやカリフラワーのような形状になることもあります。
イボが大きくなるスピードや増えるスピードは人それぞれですが、放っておくと、患部の面積がどんどん拡がってしまうことも。また痛みやかゆみといった自覚症状はほとんどありません。
放置した場合のリスクについて
人によっては、放っておくことでイボが大きくなり、数も増え、患部が拡がっていくことがあります。さらに感染したヒトパピローマウイルスが高リスク型だと、がん化する可能性が。
男性では陰茎がん、女性では子宮頸がんになる恐れがあります。
女性は赤ちゃんへの影響も考えなければなりません。性器が尖圭コンジローマにかかった状態で出産すると、赤ちゃんにうつすことがあるのです。
赤ちゃんがヒトパピローマウイルスに感染すると、お母さんと同じように尖圭コンジロームになったり、あるいは喉にイボができる咽頭乳頭腫になったりする可能性があります。
このほか、1度治ったと思っても再発を繰り返しやすいのも尖圭コンジローマの特徴です。
尖圭コンジローマと間違いやすい病気
見た目がよく似ていても、生理現象によるイボもあります。
決まった場所にある、サイズがほぼ均一、規則的に並んでいるなどの特徴があれば、その可能性が高くなります。病気ではないので、人にうつすこともありません。
皮脂腺というのは皮脂を作る器官のこと。毛根の根本にあるのが本来ですが、毛根とは関係のないところにできてしまうことがあり、これがフォアダイスになります。健康な男性の半数以上に見られますが、見た目が気になる場合はレーザー等で除去することもできます。
フォアダイスと同じくやはり生理現象で、脂肪のかたまりがポツポツ出てきた、言ってみればニキビのようなもの。健康な男性の約20%に見られますが、亀頭部分に皮脂が溜まりやすくなる包茎の人はとくに真珠様小丘疹ができやすくなります。
包茎だと、包皮との間に皮脂や汚れが溜まりやすく包皮腺にもなりやすくなります。皮脂や汚れは悪臭の原因にはなるので注意した方がよいでしょう
潜伏期間について
尖圭コンジローマは潜伏期間が長く、発症は平均すると感染の2~3ヵ月後と、忘れたころにイボが出てきます。
個人差も大きく、感染から3週間後の人もあれば8カ月後の人も。
そのため正確な感染時期や相手の特定が難しくなります。
尖圭コンジローマの検査方法と検査費用
イボが目で見て確認できれば、検査可能です。
受診科は男性なら、性病科、泌尿器科、女性なら婦人科へ。また皮膚科でも検査できます。
イボが小さく、痛い、かゆいといった自覚症状もないと、受診のきっかけがつかみにくいかもしれませんが、早めに検査するに越したことはありません。
尖圭コンジローマの場合、ほかのウイルス感染症のように血中抗体でウイルスの有無を確認するということが難しく、イボの発症を待ってからの検査となります。
治療について
尖圭コンジローマの治療法には、薬による治療法と外科的な治療法があります。
イボができ始めてどのくらい時間が経っているか、イボの数や大きさがどのくらいか、イボのできた場所はどこかによって選択する治療法が変わってきます。
ただし、8週~16週と治るまでには少し時間がかかります。また、人によって副作用が強く出ることもあります。
ただ、目に見えるイボを取り除いたからといってウイルスを完全に取り除けたとは限らないので、最低3カ月は経過を見る必要があります。
また、処置による痛みは多少はありますが、麻酔するほどではありません。
治療についてよくある質問
自分にできたイボはどうやら尖圭コンジローマらしい。
病院へ行った方がよいのはわかっているけれど、自分で何とかできるものなら対処したい…。
自力で治す方法はないのか、自然に治ることはないのか、よくあるご質問にお答えします。
尖圭コンジローマのイボを自分でちぎっても大丈夫ですか?
自分でちぎったり、ハサミで切ろうとしたりする人がいますが、尖圭コンジローマは感染症。
ウイルスの混じった血が出血すると、かえってウイルスを拡散させることになりかねません。
イボを大きくしてしまったり、数を増やしてしまったりするだけでなく、炎症になることもあります。
自己処理によって悪化した状態を治すことの方が難しくなることもあります。絶対にやめてください。
尖圭コンジローマは自然治癒しますか?
風邪などと違い、ほとんど自然治癒しません。
ごく初期の段階で、かつ免疫力も高まっていると、稀に自然治癒することがあるようですが、その場合もヒトパピローマウイルスが体内からいなくなったとは限りません。
再発の可能性があるので、早めに病院へ行くことをおすすめします。
予防するためには何をすればいいですか?
性感染症の予防の基本はコンドームの使用です。
ただ、尖圭コンジローマの場合、広範囲に感染があるとコンドームだけではカバーし切れないことも。
ヒトパピローマウイルスには有効なワクチンがあります。
不特定多数と性交渉を行う場合はワクチンを接種すると安心です。
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