トリコモナス症について|症状・感染経路・治療方法などを解説

  おしっこをするときに痛みがある、尿道から膿っぽいものが出る、かゆみがある…。一見、普通の尿道炎にも見えますが、トリコモナス原虫という微生物が引き起こしているのかも。症状や原因について、また正しい対処法について解説します。  

トリコモナスとは

トリコモナス症は、肉眼では見えないほど小さな(0.1mmほど)トリコモナス原虫が性器内に入り込み、炎症を引き起こす性病です。 主に性行為で感染し、男性は前立腺や精のう、尿道に、女性は膣の中や子宮頸管、膀胱、尿道に寄生します。女性は複数の症状が出る傾向があり、強いかゆみや、魚臭のような強い臭いのある黄色いおりものが特徴的。男性は自覚症状が出ないことが多いですが、パートナーが感染しているのであれば、治療の必要があります。  

トリコモナスは罹患者の多い性病

性病のうち、クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒、トリコモナス症の4種類は世界的に見ても感染者数が多い病気です。世界保健機構(WHO)の発表によれば、2016年に15~49歳を対象に調査したところ4種類の中で最も感染者が多いのがトリコモナス症で、1億5600万人でした。以下多い順に、クラミジア感染症が1億2700万人、淋菌感染症が8700万人、梅毒が630万人という結果でした。 トリコモナス症は、日本では発生動向調査が行われる五類感染症には指定されておらず、正式に発表された数字はありませんが、実は国内でも感染者の多い性病であることが推測されます。  

トリコモナスの症状について

女性は比較的症状が出やすいですが、男性は症状が出にくい性病です。症状が自覚できないからと言って感染していないとは言い切れないのが難しいところです。また、しばらく経ってから発症することもあります。  

男性の症状

男性の場合は感染しても、症状も兆候も出ないことがほとんど。出るとすれば、尿道への感染による尿道炎の症状です。排尿時の痛み、尿道のかゆみや違和感のほか、熱を持ったように感じることもあります。 また、尿道から膿が出ることもありますが、淋菌に感染したときのような粘りのあるタイプではありません。病原体のトリコモナス原虫は前立腺や精のうに潜んでいることが多く、前立腺炎を起こしているケースもあります。この場合は潜んでいた原虫が尿道に出てきて尿道炎の症状を引き起こすとみられています。  

女性の症状

女性の場合、主に膣に感染し、膣炎を起こします。自覚しやすい症状は、おりものの異常です。おりものの性状は泡立っていて、魚臭のような強い臭いがあり、色は黄色や黄緑色、また量も増加します。このほか、陰部の強いかゆみや刺激感、ただれ、性交時や排尿時の不快感、下腹部痛が現れることも。悪化して炎症が卵管や骨盤内まで拡がってしまうと、不妊症や早産、流産のリスクを招く恐れもあります。 病原体の原虫は、生理中にさらに繁殖しやすくなります。感染が分かっているのなら性行為は控えるべきですが、生理中はとくに注意が必要です。  

カンジダや細菌性膣炎との違い

おりもの(帯下)のにおいや形状の異常、陰部のかゆみといった、トリコモナス症によく似た症状が出る性病にカンジダ、細菌性膣炎があります。   まず、おりもので言うと、トリコモナス症は泡状、魚臭のような強い臭い、黄緑色、かつ量が多いというのが特徴。対してカンジダは、酒粕状やヨーグルト状、臭いはほぼなし、量も少量、また細菌性膣炎では、色は灰色か普段通りで、魚臭のような臭いという特徴があります。陰部のかゆみについては、トリコモナス症やカンジダではかゆみがありますが、細菌性膣炎ではかゆみは出にくい傾向があります。 このほか、トリコモナス症は主に性行為で感染しますが、カンジダや細菌性膣炎は免疫力の低下等による自己感染で発症することもある点で違いがあります。  

トリコモナスの原因とは

原因は、トリコモナス原虫という微生物。原虫とは小さな虫で、ウイルスや菌とは種が異なります。 0.1mmほどの小さな虫ながら、摂食等、生き物としての活動を行っています。栄養にするのは膣の中にあるグリコーゲン(糖)。膣にはデーデルライン桿菌という乳酸菌が常在菌として存在していて、グリコーゲンは本来、この乳酸菌が乳酸を作って膣内のバランスを整えるときに使うもの。トリコモナス原虫に横取りされることでバランスが崩れ、悪い菌が繁殖し、トリコモナス症の各症状が引き起こされます。  

感染経路について

トリコモナス症は、人から人へうつる感染症。原虫という性質上、性行為のような直接接触だけでなく、モノを介した間接的な接触でも感染する可能性があります。  

性行為による感染

主に、感染者との性行為を介して感染します。病原体のトリコモナス原虫には、女性では膣や子宮の入り口に、男性では前立腺や精のうに寄生しやすい性質があります。膣分泌液や精液の中に原虫がいるため、性器が触れ合ったり、体液に触れたりして感染が拡がっていきます。 ちなみに精液や膣分泌液は、タオルや下着、便器などにも付着しますから、これらを介してうつる可能性もゼロではありません。  

お風呂やトイレ、タオルの共用による感染

トリコモナス原虫は、水の中でも数時間生きることができる微生物です。そのため、感染者が入浴したお湯や、感染者が陰部を拭いた後の湿ったタオルを介して感染する可能性もあります。家族の誰かが感染している場合、少なくともタオルの共用は避けた方がよいでしょう。 当然、多くの人が使用する公衆トイレや銭湯も、感染する可能性はゼロではありませんが、現在の日本の環境はかなり衛生的ですから、確率としてはかなり低いと考えられます。  

感染確率

とくに男性が感染した場合、トリコモナス原虫は、前立腺や精のうなど、奥の方に潜んでいることが多く、症状が現れにくくなります。感染が発見されにくいことから、性病の中でもとくにピンポン感染を起こしやすく、パートナーの感染が判明した場合、自分自身も70~80%の確率で感染していると考えて間違いありません。  

トリコモナスの潜伏期間

トリコモナス症は、潜伏期間の目安が10日~6カ月と個人差があります。また、先にも説明した通り、感染したからと言って必ずしも症状が現れるわけではなく、無症状のままのこともあります。症状が出ていなくても感染はしているため、一般的に、感染者の3分の1に、6カ月以内に何らかの症状は出るとされています。  

トリコモナスの検査と検査費用について

検査は病院やクリニックで受けられますが、検査キットを利用するという方法もあります。その時々の事情に合わせて選択してください。  

病院での検査

男性は主に尿、女性は膣分泌液を採取して検査を行います。感染機会から24時間以上経過していれば、検査が可能です。  

男性の検査

男性は尿検査を行います。顕微鏡による目視、培養検査、DNA検査等の方法で、トリコモナス原虫への感染を調べます。 この尿検査では、健康診断などでの尿検査とは異なり、初尿と呼ばれる出始めの尿を採ります。初尿にはトリコモナス原虫や細菌等が混じりやすいからですが、逆に言えば、検査直前にトイレに行ってしまうとすべてが洗い流されてしまうということでもあります。したがって、検査の少なくとも1時間前からはトイレを控えるようにする必要があります。  

女性の検査

女性は、膣分泌物検査を行います。細い綿棒でぬぐって膣分泌物を採取し、感染の有無を調べます。 検査の方法は、トリコモナス原虫が活動しているか顕微鏡で目視する、膣分泌物を培養して調べる、トリコモナス原虫のDNAを増幅させて調べる、という3つがあります。短時間で結果が出、かつ精度がよいとされているのは、3つめのDNA検査です。ただし、生理中の検査は正しい結果が得られない可能性が高いので、避けるようにしましょう。  

検査キットの使用

医療機関での検査に行けないときは、検査キットを使うという方法もあります。専用のキットを使って自分で検体を採取し、検査機関に送付して調べてもらうというもので、キットはインターネット通販で手に入れることができます。  

検査費用

トリコモナス 8,800円(税込)   GOETHE MEN’S CLINICでは男性の検査のみ行っています。正確な結果を得るために、検査の1時間前からトイレは控えてください。検査結果は1週間前後で出ます。結果は、再度来院、もしくはお電話でも確認いただけます。検査が必要かどうかは診察で判断しますが、検査や治療が必要になった場合は、初診料・再診料は無料になります。  

トリコモナスの治療について

トリコモナス原虫は、体内深くまで入り込んでいる可能性があるため、治療は基本的に飲み薬で行います。お薬と費用について説明します。  

治療薬について

トリコモナス症の病原体は原虫のため、治療には抗原虫薬を用います。方法は主に飲み薬で、フラジールの経口薬を、1回1錠(250mg)を1日2回、10日間続けて服用します。女性は妊娠中の場合、経口薬は胎児に影響を与える可能性があるため使えません。膣にフラジールの薬剤を入れて治療を行います。   フラジールは、原虫のDNAを壊して生命活動を阻害する有効成分を使ったお薬で、国内では法律上、医師による処方箋が必要です。したがって市販薬はなく、病院を受診して治療を受けなければ手に入りません。  

治療費用

トリコモナス 11,000円、または16,500円(税込)   GOETHE MEN’S CLINICは自由診療のため、結果が分かる前にお薬を処方することもできます。時間がない、症状が出ている等、すぐにお薬が必要という方はご相談ください。 なお、お薬の服用中はアルコールの作用が強まり、悪酔いやアルコール中毒症状を引き起こすことがあります。飲酒は避けるようにしください。  

トリコモナスについてよくある質問

症状が消えてきたような気がするけれど、このまま放っておいたら自然に治る?治療を始めたから、性行為をしても構わないよね?トリコモナスに感染したことをパートナーにも言わないとダメ?等、よくある質問についてお答えします。  

トリコモナスは自然治癒しますか?

自然治癒はしません。抗原中薬で治療を行わない限り、トリコモナス原虫は除去できません。男性は症状が出にくいですが、悪化すると前立腺炎や精巣上体炎を引き起こす可能性があります。 とくに精巣上体は精子の通り道にある器官のため、炎症が起きると精子の通り道が詰まって不妊症の原因になることも。病院・クリニックを受診して、適切な治療を受けるようにしてください。  

トリコモナスの治療中に性行為をしても大丈夫ですか?

治療中ということは、まだ完治していない段階です。トリコモナス原虫がまだ棲息している状況なので、性行為によってパートナーにうつす可能性があります。治療中の性行為は避けるようにしましょう。  

トリコモナスを予防するためには何をすればいいですか?

コンドームを使用することでトリコモナス原虫を侵入しにくくすることができます。コンドームの破れや亀裂がないか、正しく装着できているか、確認しましょう。ただし、病原体が原虫のため、コンドームだけでは予防しきれない可能性があります。 男性の場合、性行為後すぐの排尿で、尿道から侵入しようとするトリコモナス原虫を洗い流せることもあります。  

トリコモナスに感染したことを彼氏(彼女)に言えずにいます。伝えるべきでしょうか?

トリコモナスの感染が判明した場合、パートナーも70~80%の確率で感染していると考えられます。とくに男性は症状が現れにくく、検査をしても陰性と判定されてしまうことがありますが、パートナーとともに同時期・同期間の治療を行わないと、互いが互いにうつし合うピンポン感染を起こしてなかなか治癒しません。 言い出しにくいことではありますが、お互いの身を守るためにきちんとパートナーに伝え、一緒に検査・治療を受けてもらうようにしましょう。  

感染が疑われる場合はすぐに検査、治療を受けましょう

トリコモナス症は、目に見えないほど小さい原虫という微生物が引き起こす性感染症。性感染症と言うと、日本ではクラミジアや淋病の印象が強いですが、じつは世界的に見ても感染者が非常に多い病気です。 トリコモナス症は潜伏期間が長く、とくに男性は感染してもほとんど症状が現れません。そのため、知らないうちに症状が進行してしまうこともあります。また性感染症はその性質上、パートナー間でうつし合うピンポン感染を起こしやすいですが、トリコモナス症は特にその傾向が強い病気です。ピンポン感染等の理由から再発を繰り返すと、治りにくくなったり、悪化して不妊症の原因になったりする危険性もあります。 おかしいなと思ったら、検査・治療をぜひ検討してください。自身だけが治療しても完治は難しいため、パートナーにも検査・治療を受けてもらうようにしましょう。GOETHE MEN’S CLINICでは即日の検査が可能で、治療もその日からすぐに始められます。  

料金について

クリニックへのアクセス

記事の監修者:野口 真康
GOETHEメンズクリニック八重洲院 院長
日本性感染症学会 会員