尖圭コンジローマの治療薬について|市販薬はある?薬の種類は?
2022.10.31
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記事監修 宮島 賢也 医師
本記事では、尖圭コンジローマの治療薬や薬の使用時の注意点、薬以外の治療方法などについて詳しく解説します。尖圭コンジローマの症状が見られる人はもちろん、尖圭コンジローマの効果的な治療薬を探している人は、ぜひ参考にしてください。
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)(6型・11型)が原因となる、ウイルス性の性感染症の一種です。HPVは、主に性的接触などにより、ウイルスが粘膜や皮膚のごく小さな傷から侵入して、細胞に感染します。
性交渉の経験がある約80%の女性が50歳までに一度は感染すると言われているほど、私たちの身近にいるウイルスといえます。
今のところ、HPVを根本的に治療するための治療薬は開発されておりません。そのため、もしも尖圭コンジローマに感染した場合は、対症療法となります。
目次
尖圭コンジローマの治療薬について
尖圭コンジローマとは、性感染症の一種で、陰部にできものが生じる病気です。
尖圭コンジローマの治療に用いられる薬は、主に塗布薬で、塗布薬の処方が難しい場合には、凍結療法や外科手術が採用されます。
以前は、5-FU(フルオロウラシル)軟膏が使用されるケースが一般的でしたが、最近ではベセルナクリーム(イミキモド)が尖圭コンジローマに効果のある治療薬として認可されたこともあり、ベセルナクリームを活用する症例が増えています。
ただし、ベセルナクリームは使用上の注意点がいくつか存在し、また、人によっては副作用が出るおそれもあるため、塗り薬を使用するか、その他の治療方法を行うかは、症状によって医師が判断します。
治療薬ベセルナクリーム(イミキモド)について
尖圭コンジローマの治療には、ベセルナクリーム(イミキモド)が用いられるのが一般的です。
ベセルナクリームは、2007年に登場したばかりの比較的新しい外用薬ながら、「日光角化症」や「皮膚がん」の治療にも活用されています。
そのため、治療効果の高い薬と言えます。加えて、その他の治療法と比較してみると、自宅で治療できる、傷痕が残りにくいといったさまざまな利点も存在します。
ベセルナクリームは、ウイルスの増殖を抑制しながら免疫力を高め、ウイルスに感染した細胞を障害することで治癒を目指します。この薬の薬品情報は、以下の通りです。
ベセルナクリームの使い方
ベセルナクリーム(イミキモド)は、適量を2~3日に1回の間隔で週3回塗布して使用します。
塗布のタイミングは、就寝前が理想であり、塗布後はそのままの状態を維持しつつ、起床時に塗布部分の薬をせっけんとぬるま湯で洗い流します。
なお、ベセルナクリームには効能だけでなく、副作用もいくつか存在します。
そのため、使用時にはベセルナクリームの正しい使用方法をしっかりと理解することが重要となっています。
以下では、ベセルナクリームの具体的な使い方について紹介します。
①薬を取り出す
まずは、ベセルナクリームの包みを開封し、指先に薬を適量、絞り出します。事前に指は洗って、清潔な状態にしておきましょう。
②患部に塗布する
続いて、絞り出した薬を患部に薄く塗布します。
この際、死角となる位置にイボがある場合は、手鏡などで確認しながら、クリームが見えなくなるまで塗ることがポイントです。塗布後は、必ず手指をせっけんでよく洗い流してください。
なお、患部は絆創膏やテープなどで覆ってはいけません。
クリームを患部に塗布した状態を最低でも6時間以上保ちます。
③6~10時間後に洗い流す
最後に、塗布後6~10時間を目安に、せっけんを使ってぬるま湯で洗い流します。
男性で、包皮内に発症したイボを治療している期間は、毎日包皮を反転させた状態で患部を優しく洗い、清潔に保ってください。
また、一度使用したクリームは必ず破棄し、薬が残っていたとしても、再使用しないでください。
塗布の際の注意点
ベセルナクリームを塗り忘れた場合は翌日に改めて塗布します。
ただし、連続使用は禁じられているため、その日の内は塗布しないようにしてください。
また、塗布量を間違えた時や、塗り方を間違えた場合は、必ずかかりつけ医に相談し、医師の指示に従いましょう。
ベセルナクリームの副作用について
ベセルナクリームには、下記のような副作用が認められています。
副作用が出た場合は、使用を中断して、かかりつけ医に相談してください。
ベセルナクリーム(イミキモド)以外のお薬について
現在、日本で処方されている尖圭コンジローマの治療薬は、ベセルナクリーム(イミキモド)のみです。
尖圭コンジローマの治療にあたり、効果的なジェネリック医薬品については、海外では一部製造が進められているものの、国内では、まだそれらの治療薬についての明確な治療効果が確立されていません。
そのため、やはり医師の指導の下で処方・使用がなされるベセルナクリームを使うのが、最も安心できる治療方法と考えられています。
アルダラクリーム
アルダラクリームは、製薬会社の「メダ株式会社」が開発した、ベセルナクリームの後発(ジェネリック)医薬品です。主成分は、ベセルナクリーム同様イミキモドです。
クリームを患部に塗布することで、感染した細胞を体内の免疫で取り除きながら、ウイルスの増殖を抑える効果があります。
使用方法や注意点は、基本的にベセルナクリームと変わりありませんが、稀に排尿困難などの副作用を引き起こすことがあります。
イミクアッド
イミクアッドは、インドのムンバイに本社を構える「グレンマーク社」が開発した後発(ジェネリック)医薬品です。
有効成分イミキモドを5%配合しており、体内の免疫力を高めながら、ウイルスに感染した細胞を攻撃する作用を有しています。
先に紹介したアルダラクリームよりも低価格で購入することが可能ですが、強い副作用のリスクを完全に否定することはできないため、使用前には必ず医師の判断を仰ぎましょう。
市販薬について
尖圭コンジローマの市販薬は国内には存在しておらず、病院での処方がない限り入手することはできません。
なぜなら、尖圭コンジローマの薬は副作用があるだけでなく、他の薬との相互作用についても考えなければならず、一般には扱いが難しいためです。
尖圭コンジローマは、イボを発症する病気であるためイボ治療のための市販薬を私用している患者さんもいらっしゃいます。
ただし、それらの市販薬は尖圭コンジローマに対する治療効果が認められていません。
製造会社からも、尖圭コンジローマの治療には使用することができないことが、注意喚起されているため、自己判断で使用するのは控えてください。
ワクチンについて
尖圭コンジローマは、HPVワクチンを接種すれば発症を予防することが可能です。
HPVワクチン接種の主な目的は、子宮頸がんの予防であるものの、接種することで尖圭コンジローマの予防もできるのです。
そのため、性行為経験がない人はもちろん、性行為経験がある人にもHPVワクチンの接種がおすすめされています。
薬以外の治療方法
尖圭コンジローマの薬以外の治療方法については、
の3つが挙げられます。
【凍結療法】
凍結療法とは、-196℃の液体窒素を用いて、イボを化学凝固させ、壊死させる治療方法です。
この治療は、尖圭コンジローマの治療以外にも手や足など、体のあらゆる範囲でのイボ治療にも使われています。
凍結療法では、1〜2週間に1回の頻度で治療を進めていきます。1回の施術で広い範囲を治療することができ、出血をあまり伴わない点がメリットです。
一方で、「治療効果が確実ではない」「治療中だけではなく治療後も数日間痛みが残る」といったデメリットも存在します。
また、1回の凍結療法ですぐに尖圭コンジローマが完治することは少なく、早い人で1〜2ヶ月、長い人であれば半年〜1年程度、時間がかかる場合もあります。
体内にウイルスが残っていれば、再発してしまう可能性もあるため、医師の判断により、その他の治療法と併用していくのがよいでしょう。
【三塩化・二塩化酢酸の外用】
三塩化・二塩化酢酸の外用とは、イボに三塩化・二塩化酢酸を塗布して化学凝固させ、壊死させる治療方法です。
潰瘍(かいよう)化を防ぐために、数分間三塩化・二塩化酢酸を作用させた後、水などでしっかりと洗い流して中和させます。
ただし、三塩化・二塩化酢酸の外用は、何度も繰り返し施術を行う必要があるため、完治までに時間がかかります。
また、この治療方法のみだと、尖圭コンジローマが再発する可能性が高いため、軟膏による治療も併せて行うことが欠かせなくなっています。
【外科手術】
外科手術は、正常な皮膚を残しながら、一部の皮膚と一緒にイボを切除する治療方法です。
施術は局所麻酔を使用するため、大きな痛みを伴う心配はありません。また、施術時間は10〜20分程度で終了するため、その日の内に治療を終了させることが可能です。
また、電気メスや炭酸ガスレーザー蒸散手術によるイボの焼勺(しょうしゃく)は痕が残りづらいため、術後の回復もあっという間です。
しかし、外科手術によりイボをきれいに切除したとしても、周囲の皮膚に潜んでいるウイルスを排除することはできません。
そのため、再発の可能性を否定することはできず、完治するまでに長い時間を有するおそれがあることを知っておきましょう。
検査について
尖圭コンジローマの検査及び治療は、性病科・泌尿器科・皮膚科・婦人科のいずれかで行えます。
ただし、病院での検査は原則として匿名での受診が難しいため、匿名検査を希望する場合は、専門クリニックでの診察がおすすめです。
尖圭コンジローマの検査料金は、概ね14,000~18,000円程度(自由診療)の価格帯が相場となります。
当院でも「来院診療」「オンライン診療」ともに対応可能ですので、気になる症状がありましたらご検討ください。
→来院診療の料金表
→オンライン診療の料金表
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